人のためじゃないと頑張れない
世の中にはこんな風に考えている人は多いかもしれない。
「自分は年を取ったからもう自分のために頑張れなくなった。毎日頑張って働けるのは家族や子どものためだ。若い皆さんは自分のために努力しなさい。」
こんなことを自慢気に生徒に語っている教師を見たことがある。年の頃はアラフォーだった。
聞いていて非常に呆れた。
自分の人生を諦めた言い訳をしているだけではないか、と。
しかし、実際にはそれよりも遥かに酷い場合がある。自分の人生の責任を子どもに仮託している場合だ。
「俺が、私があなたのために頑張っているのだからお前も、あなたも頑張りなさい」
責任を押し付けられた方は悲惨だ。
他人の、親の人生を背負わされているだけだ。
背負う必要もない重荷を一方的に背負わされているだけだ。
押し付けられた方はそれを冷めた感情で拒否することも可能だが、代わりに罪悪感を背負わされることになるだろう。「あなたのために頑張ってきたのにどうしてこんな仕打ちを…あなたのためにこんなに苦労してきたのにどうして…」と。
結局のところ、「自分の努力の源泉を他人に押し付けるべきではない」ということになる。
「あいつが頑張っているから俺も、私も頑張ろう!」これは外部刺激を自発的な動機に昇華しているため、問題ない。
しかし一方、「あなたが頑張っているから俺も、私も頑張れる」と相手に言う場合、それもまた責任転嫁だ。
あなたが努力をやめたら私もやめる、だから続けて…というプレッシャーを相手に与えているだけだ。自分が楽をするために責任や裁量を相手に押し付けているだけということになる。
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