第35話 十七歳でした!
遠い、遠い、過去のことですが、ぼくは、中学を卒業するとき、同級生の女の子を好きになりました。
でも、結局、声もかけられず、高校に上がりました。高校は、男子校でした。
だから、女の子としゃべるきっかけなど、ほぼなく、ぼくは、毎日、中学の卒業アルバムで、その子を眺めることだけが、自宅での楽しみとなりました。
ユーミンの『卒業写真』がいつも、心境を奏でてました。
『卒業写真のあの人は、優しい目をしてる』
ただ、自転車で通学するとき、朝です!その子と会えたんです!えっ!!と思いました。
朝の通学路にその子が、自転車で信号を待っていたんです。
もう、ドキドキしちゃって、その子が待っている橫で、同じように信号を待ちました。話したこともない、その子は、ぼくのことを知っているのか、さえわからなく、信号が青になり、走り出すと、ぼくも同じように、ついていきました。
その子は、ある女子校に入っていきました。ここに通ってたのか!
それを知るだけで、とても、嬉しかったです。
それから、次の日も、同じ時間にその通学路を選びました。すると、また、その子がいたんです!
でも、話しかけられません。
勇気も、根性もないし。また、その子を見送るだけでおわってしまいました。
それから、その子は、時間を変えたのか、会えなくなりました。
ぼくは、また、卒業アルバムだけを眺める日々を送りました。
『悲しいことがあると、開く、皮の表紙』
いまから思えば、ただ純粋に、その子に恋をしていたんだと思います。
それから、時は経ち、高三になりました。
ぼくは、親友から、別の女の子を紹介され、その子と、付き合うことになりました。
ある夜のこと、中学の時の数学の先生が亡くなったんですよね。
棺が中学まで運ばれ、ぼくたち生徒は、中学校で会いました。
みんな、成長していて、すると、その好きだった女の子も、そこにいたんです!その子は、ぼくに、男の子、紹介して!って言ってきたんです。
在校生の悲しむなか、ぼくと、その子は、電話番号の交換をしました。先生には悪かったけど、出会いの場にしてしまいました。
そして、バレンタインデーの日、その子は、夜九時頃、ぼくのうちへチョコを持ってきてくれました。
でも、ぼくには、もう、別の彼女がいて、その子を裏切れませんでした。その子がチョコを渡したとき、「ありがとう、義理チョコだよね?」と打診してしまいました。その子は、恥ずかしかったのか、コクッとうなずきました。
それで、もう、その子とは、バイバイです。
時期が悪すぎた!ほんとは、すごく幸福なことだったのに!ちゃんと、その時、その子を、選んでたら、どうなってたかなあ?って、いまでも、考えてしまいます。
『人混みに流されて、変わっていくわたしを、あなたは、遠くで、時々叱ってあなたは、わたしの青春、そのもの』
ぼくの十七歳でした!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます