第10話 五十歳

友だちが、苦しんでいた。「わたし、五十歳になってーん」


ぼくは、現在、年齢四十七歳。十月で、四十ハ歳になる。最近、道を歩いていて、恥ずかしい思いになる。高校生たちが、道を堂々と歩いていて、ちょっと前なら、なんだ!こいつら、じゃまだなー!と、わざと怪訝そうな顔して、抜かしていったものだが、最近は、そんなことできなくなっている。四十ハ歳にもなった、おじさんが、そんな若者を邪険に扱っていいものだろうか、と。もし、邪険に扱うものなら、なんだー!おまえ、おじさんじゃねーかよー!とその若者たちに、怒られるのではないかと、小さくなって歩いている。


バスに乗っていても、制服姿の女学生を見ると、昔なら、ああ、可憐だなー、と眺めているだけで、ほのぼのとなれたものだが、いまそんなことしてたら!ちょっと!おじさんが、何見てんのよ!!とキッ!とにらまれるのではないか、恐ろしくなってしまう。


知り合いが言っていた。ぼくは、三十歳になったとき、まだ、なにもできてないじゃないか!とショックでしたねー!と。あとは、四十歳になろうが、開き直っていたらしい。


ぼくの三十歳は、まだ、将来を夢見ていた!あんなことやって、こんなことやって!と夢いっぱいだったのだ。まるで、遅くやってきた青春だった。そのまま、時は流れ、四十歳になったとき、ショックを受ける。え!!まだ、彼女もできてないじゃん!!と。そう、結婚もできてなかったのだ。焦った、焦った!そして、そのまま、時は流れ、四十ハ歳。きっと、五十歳になったとき、地獄を見るのではないか、と予測している。


だって、いま、どんなに女の子に言い寄ろうが、まるで、手応えが~ない~、あ~、なんだもん。(ミスチル、雨のち晴れより、少々抜粋)書店に誘おうが、LINEを交換する時期を慎重にしようが、関係ない。まったく、ことがごとく、作戦にやぶれている。


これじゃ、五十歳までに、結婚できないよ~。いや、彼女すら、できてないかも知れない。五十歳になり、焦るのは、確実なるものなろうとしている。


そして、五十歳の誕生日。ぼくは、なにをしているだろう..


最近、親友と思ってたひとに、LINEをブロックされた。その後も、いつか、ブロックを解除してくれるだろうと、送り続けていたが、とうとう、根負けして、今日、ぼくもブロックしてしまった。


だから、いま、親友と呼べるひとがいない。


五十歳の誕生日。一人。相談する友だちがいないのだ!


あ~、焦るやろな~。どうするんやろ。いっそう、五十歳の自分にむけて、タイムカプセルでも、作っとこっかな~。手紙でも、書いとこっかな~。焦るな!焦るな!と、書いておいて、五十歳の誕生日に、封筒開けるようにしとこっかな~。

一年前にも、「三年後の自分への手紙」って書いたけど、半分、ふざけて書いたからな~。

今度こそ、真剣に、真摯に、自分と向き合って書こうかな~。

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