第4話 公園の夕暮れどき

子どもらが、楽しく、遊んでる。


目の前のお母ちゃんが言った。


もう、暗なってきたから、帰ろ。


ひーちゃんという子は、砂場で遊んでいたが、お母ちゃんと一緒に帰るんだろうか。


そのお母ちゃんは、ぼくが、口をつぐんで、ただ黙っていると、そのままで許していてくれいた。


怪しいとは、思わないんだろうか。ぼくを。


こんな、おっさんが、一人、ベンチで座ってる。


しばらくして、顔をあげると、もう、ほとんどの親子連れが、帰りはじめていた。


あてもなく、ただ、この公園にやって来て、ベンチに腰かけているけど、みんな、帰るんだったら、ぼく一人、この公園にいてもつまんないや。帰ろかな。


隣のベンチに就職活動をしているらしき、女性二人組が、夕日にたそがれている。


仲良いいなあ。


気が付くと、目の前の砂場にまた、別の子どもたちがやってきた。お母ちゃんが、スマホで写真撮ってる。


あ、女性二人組の片一方が立ちはじめた。


この子らも、帰るのかな。


最初いた、ひーちゃんが、もう帰っていったのは、言うまでもない。


だんだん、寂しくなってきたなあ。参ったなあ。うち帰っても、つまんないんだよね。


ブランコで、親子三人連れが、揺られている。


お!良かった、と安心したら、滑り台に、小っちゃな子どもが、のぼりはじめた。


みんなー!もっと、遊んでようぜ。


みんなー!どこ行くんだよ。おれ一人、残さないでくれ。


あーあ。こんなこと言ってる間に、ブランコの三人連れ親子が帰りはじめた。


みんなー!なんで、帰るんだよ。そんなに腹が減ったのか。


隣の就活、女性二人組も、帰る用意をはじめた。


ん?なんだか、公園のムードが変わりはじめたぞ。


向こうのベンチに、男女カップルがやってきて、仲良くしはじめた。


なにこれ。ぼくに、もう、帰れって意味?



男の子がやってきて、バスケのボールで、ドリブルの練習をしはじめた。


あーあー。砂場の前に、ダンプカーのおもちゃが置きっ放しだ。


いい感じで、少年のドリブルの音が、響いてる。


隣の女性二人組まで、帰りはじめた。


待っとくれよ。ぼく一人にしないでくれ。


と思ったら、二人組は、公園の真ん中へ行って、なにかしはじめた。なにやってんだろ。あの二人。


こうしていると、公園て、自由なんだな、と改めて思う。


スポーツウェアを着た、おじさんがやって来て、アキレス腱をのばしはじめた。二人組は、真ん中で、なにかやっている。


また、ブランコに別の親子三人連れがやってきた。


就活二人組は、スマホの前で、ポーズをとっている。


記念写真でも、撮るのかな。


こうやっていると、入れ違いに、また誰か、また誰かがやって来るもんだ。




放っといたら、この話、夜中まで続きそう。あれ?いつの間にか、また、公園には、ひとが集まっている、


ダンダンダン!ドリブルの音がさっきから、ずっと響いてる。


二人組が、用を終えたのか、かばんを持って帰っていった。


しょうがない。


そろそろ、モスバーガーにでも、寄って、コーラ飲んで、帰ろっかな。



公園で、家に帰りたくない、ぼくの話でした。


気が済んだ!ぼくも帰ろ!

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