第9話 クローゼットの徹底整理
香織はミニマリストへの道を進む決意を新たにし、クローゼットの前に立っていた。以前に一度整理したものの、まだまだ不要な物が詰まっていることを実感していた。
「本当にこれが必要か?」香織は服を一つ一つ手に取り、自問自答する。
まず手に取ったのは、大学時代に買った古びたセーター。すでに形が崩れているが、思い出深い一品だった。
「ありがとう、セーターさん。君のおかげで寒い冬を乗り越えられたけど、もう十分だね」と呟きながら、香織はセーターを手放す決意をした。
次に、ほとんど着ていない派手なドレスを手に取る。「これ、いつ着たんだっけ?」と記憶をたどるが、具体的なシーンが思い浮かばない。「さようなら、ドレスさん。君は一度も日の目を見なかったけど、これから誰かが喜んで着てくれるといいね」と、ドレスを寄付用の箱に入れた。
シューズラックには、あまり履かないハイヒールが並んでいた。香織は一足一足手に取り、「これ、もう履かないよね」と言い聞かせながら処分する決意をした。
アクセサリーも同様に見直し、使わないものを処分することに。「これも、これも、もういらない」と呟きながら、彼女は厳選したアイテムだけを残すことにした。
その日のランチタイム、香織は涼介と再会し、片付けの進捗を報告する。
「涼介、またクローゼットを整理したよ。けど、まだなんだかうまくいってない気がするの」
涼介は微笑みながら、「それは素晴らしい一歩だよ、香織。でも、もっとシンプルにする方法があるんだ。『カプセルワードローブ』って知ってる?」
「カプセルワードローブ?聞いたことはあるけど、詳しくは知らないわ」
涼介はカプセルワードローブの概念を説明した。「カプセルワードローブは、季節ごとに必要な最小限の服を揃えて、全てのアイテムが組み合わせやすいようにするんだ。これで着回しが効いて、少ないアイテムで多くのスタイルが作れるようになるよ。」
「なるほど、それなら私にもできそう!」香織は興味津々で聞いていた。
涼介のアドバイスを受け、香織は再びクローゼットの整理に取り掛かる。彼女はカプセルワードローブを作り上げるため、シンプルで着回しのきくアイテムだけを残し、他の服は処分するか寄付することにした。
「これで本当に必要なものだけが残るわね」と言いながら、香織は一つ一つのアイテムを厳選していった。シンプルなシャツやジーンズ、ジャケットなど、どれも組み合わせやすい服だけを残した。
最終的に、クローゼットの中はすっきりと整然とし、必要最小限のアイテムだけが揃っていた。香織は達成感に満ちた表情でクローゼットのドアを閉めた。
「これでようやく、本当に必要なものだけに囲まれた生活ができるわね」と自分に言い聞かせ、香織は新たなミニマリストとしての一歩を踏み出したのだった。
香織のミニマリストへの旅はまだ続くが、彼女は確実に前進していることを実感し、次なるステップに向けて準備を整えるのだった。
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