第5話 キャッシュレス
バスルームと寝室の片付けを終えた香織は、リビングのソファに腰を下ろし、一息ついた。部屋全体がすっきりとして、まるで新しい生活が始まったかのような気持ちだった。だが、心のどこかでまだ何か足りないような気もしていた。
「この調子でいけば、全部片付くのも時間の問題ね。でも、どうせならもっと効率的にできないかな…」と独り言を呟く香織。
その時、スマホが鳴り、涼介からのメッセージが届いた。
「香織、進捗どう?順調に片付いてる?」
香織はメッセージを読み、少し考えてから返信する。
「うん、冷蔵庫とバスルーム、寝室はすっきりしたよ。でも、まだリビングに手をつけてないの。何かアドバイスある?」
涼介からの返信はすぐに返ってきた。
「いい感じだね!リビングの片付けは大変だけど、ポイントは ‘必要最低限’ という考え方を徹底すること。あと、キャッシュレス化もおすすめだよ。現金を持ち歩かないことで、物理的なスペースも心のスペースも生まれるから。」
「キャッシュレス化か…。確かに、財布も整理できるし、いいかもね」と香織は思いつつ、メッセージを返した。
「ありがとう、涼介!それ、試してみるよ!」
その晩、香織はリビングの片付けを始める前に、まず自分の財布を見直すことにした。財布の中には古いレシートやポイントカードがぎっしり詰まっていた。彼女はそれらを一つ一つ取り出し、不要なものを捨てていく。
「このレシート、いつのだろう?もういらないね」と言いながら、レシートをゴミ箱に放り込む。
次に、彼女はスマホのアプリを使ってキャッシュレス決済の設定を行った。QRコード決済や電子マネーのアプリをインストールし、使い方を学ぶ。
「これで、現金を持ち歩かなくても済むわね。すごく便利!」と感激しながら、香織はキャッシュレス生活の第一歩を踏み出した。
翌日、香織は職場で涼介にキャッシュレス化についての報告をした。
「涼介、キャッシュレス化始めたよ!これ、すごく便利だね。財布も軽くなったし、すごく気持ちがいい!」
涼介は微笑みながら、「それは良かったね。これでますますミニマリストに近づいたよ。リビングの片付けも頑張って!」
香織は励ましの言葉に感謝しながら、リビングの片付けに取り掛かることを決意した。まず手をつけたのは、リビングの一角に積み上げられた古い書類と雑誌の山だった。
彼女は一冊一冊の雑誌を手に取り、読み返すことなく次々にゴミ袋に放り込んでいく。その中には、数年前のファッション誌や、ダイエット特集の号もあった。
「ダイエット特集…結局一度も試してないけど、もういいか」と笑いながら、自分にツッコミを入れる。
次に手に取ったのは、昔の請求書や領収書の束だった。香織はそれらを一つ一つ確認しながら、必要なものだけを残して処分することにした。
「この電気代の請求書、もう何年も前のじゃない。こんなの取っておいても意味ないよね」と独り言を言いながら、紙をシュレッダーにかけていく。
書類の山が片付いた後、香織はリビングの他の場所も見直すことにした。彼女はテレビの周りに散らばったリモコンやガジェット類を整理し、使わないものを処分する。
「リモコンがこんなにたくさん…もう使ってないのに」と苦笑しながら、不要なリモコンをゴミ袋に入れる。
リビング全体がすっきりと片付いた時、香織は大きな達成感を感じた。部屋の中が広くなり、心も軽くなったように感じた。
「これでリビングも完璧ね。ミニマリストへの道のり、順調だわ」と満足げに呟く香織。
香織のミニマリストとしての生活は、確実に形になってきていた。物を手放すことで得られる自由と幸福を実感しながら、彼女は次なるステップへと進む準備をしていた。
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