第4話 ミニマリストへの旅

しかし、次に目を向けたのはリビングの片隅に積み上げられた古い雑誌と書類の山だった。まるで巨大な紙のタワーがそびえ立っているかのようだった。


「これも片付けないと…」香織はため息をつきながら、雑誌の山に手を伸ばした。


彼女は一冊一冊の雑誌を手に取り、読み返すことなく次々にゴミ袋に放り込んでいく。その中には、数年前のファッション誌や、ダイエット特集の号もあった。


「ダイエット特集…結局一度も試してないけど、もういいか」と笑いながら、自分にツッコミを入れる。


次に手に取ったのは、昔の請求書や領収書の束だった。香織はそれらを一つ一つ確認しながら、必要なものだけを残して処分することにした。


「この電気代の請求書、もう何年も前のじゃない。こんなの取っておいても意味ないよね」と独り言を言いながら、紙をシュレッダーにかけていく。


リビングの片付けが進むうちに、香織の気持ちも次第に明るくなってきた。物を手放すたびに、彼女の心に余裕が生まれてくるような気がした。


香織は次に、バスルームと寝室の片付けに取り掛かることを決意した。バスルームには使い古したバスマットや、ほとんど使わない化粧品が散乱していた。寝室には、クローゼットに詰め込まれた服が溢れ出していた。


「次はバスルームと寝室ね。これもスッキリさせて、新しい生活を始めるのよ」と自分に言い聞かせた。


彼女はまずバスルームに向かい、古いバスマットを手に取った。バスマットはボロボロで、もう役目を果たしていないことが明らかだった。


「バイバイ、バスマット。君にはお世話になったけど、もうお役御免ね」と笑いながら、バスマットを処分する。


次に、バスルームの棚に置かれていた化粧品の山を整理し始めた。使い切らないまま放置されたボトルやチューブが次々に現れる。


「これ、いつ買ったんだっけ?もう使えないよね」と呟きながら、不要なものをどんどん処分していく。


バスルームがすっきりと片付いた後、香織は寝室に向かった。クローゼットを開けると、そこには溢れんばかりの服が詰め込まれていた。


「これは…本当に全部必要なのかしら?」香織は疑問を感じながら、一つ一つの服を見直し始めた。


使っていない服や着古した服を次々に手放していくうちに、クローゼットの中は次第に空いていった。


「これでようやくクローゼットも使いやすくなったわね」と満足げに微笑む香織。


彼女はミニマリストとしての生活に一歩ずつ近づいていることを実感し、新たな生活への期待と興奮に胸を膨らませた。香織のミニマリストへの旅は、まだ始まったばかりだったが、彼女は確実に前進していた。

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