第3話 冷蔵庫の大掃除
香織はキッチンの片付けを終えた後、次に目を向けたのは冷蔵庫だった。冷蔵庫の扉を開けると、そこには食材のジャングルが広がっていた。冷蔵庫の奥からは、見たこともないカビのコロニーが覗いていた。
「こんにちは、冷蔵庫の王様。久しぶりに会ったね。でも、今日はお別れだよ」と、香織は冷蔵庫に向かってつぶやいた。
まず手に取ったのは、奥に押し込まれていた謎のタッパー。半透明の蓋越しに、中身は不明瞭だが、何か生物が発生しているような気配がある。
「これは…いつからここにいるんだろう?」香織は恐る恐る蓋を開ける。しかし、臭気が立ち上った瞬間に、彼女は即座に蓋を閉めた。「うわっ、これはもう生物兵器じゃないの!」と驚きながら、そのままタッパーごとゴミ袋へ。
次に目に入ったのは、賞味期限が1年前に切れたドレッシング。ラベルには「ヘルシードレッシング」と書かれているが、その中身はまるで実験室の試料のように変色していた。
「これ、ヘルシーどころか有害じゃない?」と独り言を言いながら、ドレッシングをゴミ袋に投げ込む。
冷蔵庫の引き出しには、古びた野菜たちが眠っていた。シワシワになったピーマンや、カラカラに乾燥したニンジン。まるで植物のミイラ展覧会のようだ。
「これは…ピーマンのミイラ?」と香織は笑いながらピーマンを手に取る。「これもさよならね」と言いながら、ゴミ袋に入れる。
次に目に入ったのは、何度も使いまわされたビニール袋に入った未開封の納豆。賞味期限を確認すると、数ヶ月前に切れていることに気づく。
「納豆って、そもそも発酵食品だけど…これは発酵しすぎ?」と冗談を言いながら、納豆を処分する。
冷凍庫も開けてみると、ここには数年前の冷凍食品が鎮座していた。アイスクリームのカップには霜がびっしりと付き、もはや「アイスの化石」と化している。
「化石発見!これは貴重な資料かもしれないね」と香織は笑いながら、古びたアイスクリームをゴミ袋に放り込む。
冷蔵庫の中身を一つ一つ取り出し、不要な物をどんどん処分していくうちに、冷蔵庫の中はすっきりとした空間に変わっていった。
「これでようやく冷蔵庫の中もミニマリスト仕様ね」と満足げに微笑む香織。
冷蔵庫を整理し終えると、次に香織はキッチン全体を見渡し、達成感に浸った。彼女は新たな一歩を踏み出し、ミニマリストとしての生活を本格的に始める決意を固めた。
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