41話
すると
しかし桃佳の裸体を彼ら二人と、更にそこに駆けつけた
その日の夕食時も桃佳は彼ら三人と一切口を聞かず、向こうから話しかけても無視をしてねめつけたので、桃佳と彼らとの間に張り詰めた空気が漂った。
更に就寝前は、前日と同じように桃佳が榮騏を縄で縛ろうとしたところ、彼が軽功を使って外に逃げ出した。
それで桃佳は、昌信と子瑞に彼を捕まえるように命令したので、彼らも軽功を使って榮騏を捕まえなければならなかった。
そして捕らえられ縄で縛られた榮騏は、桃佳から『この、スケベジジィ!!』と罵られながらポカポカと両手で胴体を殴られたのであった。
そしてその翌朝、桃佳が
彼女らが昨日準備した道具一式を、背中に背負子に載せて背負った。
桃佳は重い荷物を背負って尻もちをついたことよりも、まだ『人間だと行くことが出来ない』と
「なんでそんな顔をするのだ?桃佳が玄龍祠に行かなければならないと言っていたのだ」
「そうだ、桃佳。お主には余の、そして
よろよろと尻をさすりながら桃佳は立ち上がった。
子瑞にそのようなことを言われると、今までの不安とともにプレッシャーまで感じてしまう。
やがて桃佳は、一気にがモチベーションが失せてしまい顔を俯かせてしまった。
「う~~ん……本当に玄龍祠に行けるのかな……」
「おい
「でも、人間にはあそこは無理なのだ」
榮騏が
なので桃佳は自分に課せられた使命と、自らの安全の確保とを秤にかけると、どうしても後者に傾いてしまうのだった。
それに伴い彼女は自暴自棄となってパニックを起こした。
「あーもうー!行けばいいんでしょ!!
「分かったのだ……」
桃佳が
「それじゃあ、行ってくるのだ。桃佳がこんなんだけど、連れて行くしかないのだ」
「頼んだぞ桃佳。お主しか玄龍を召喚させられぬのだからな」
「もう、ここまで来たら行くしかないよね。行ってきます!」
こうして、気を何とか取り直した桃佳と
* * *
山道を登っていくと勾配は急になり、やがて道も狭くなってきた。
辺りは霧が立ち込め、重い荷物を背負って一歩一歩用心して進むのにも苦労する中、桃佳は今までずっと聞きたかった疑問を
「そういえば、この
「当たり前なのだ、
桃佳がもう妖怪に襲われないかという不安になって聞いたことを、きっぱりと答えた
確かに彼女だったらなせる技だと桃佳は理解した。
「へぇ、
「そうなのだ。それに、人間にとってこんな視界の悪い霧の中でも、
桃佳は
霧で視界が悪くてうまく進むことが出来ない桃佳は、自分にエラそうに振舞う
濃い霧の中を更に進んでいくと、やがて霧が晴れて辺りを見渡すことが出来た。桃佳の周りには自分の背丈より高い木々は生えておらず、空の大きさを感じるほど開放感を身に感じた。
真下から麓の方向に行くほど斜面は緩やかになり、そこには自分達がこの
自分がこんな高いところまで登ってきたことを感じると、桃佳は自分でも爽快な気分を味合うことが出来るのであった。
やがて登っていくうちに日が暮れてしまい、桃佳は疲労で体がくたくたになってしまった。
「もう暗くなるし、今日はもうここで野宿にしない?」
「確かにもう日が沈むからそうするのだ。じゃあ桃佳は焚き木を拾ってきて欲しいのだ」
野宿をすることとなった場所は開けて平坦な場所だったが、これ以上進むとそのような場所があるとは限らなかった。
その上、日が暮れないうちに野宿しなければ暗くなるので危険である。
桃佳も
桃佳は
それでも灌木は生えているので、その枝を焚き木にするために周辺の灌木の枝を拾い集めた。
桃佳が戻ってくると、
「ちょっとアンタ!?何食べてんの!?」
「えっ?その辺で捕ってきたヘビなのだ」
何と
桃佳は思わず失神しそうになったが、
「桃佳の分も捕まえて来たのだ。ほら、食べるのだ」
「ギャアアああ!!私は、人間だから生のヘビを食べないって……でも、幻世では焼いて食べる国もあったかも?」
悲鳴を上げつつそのようなことを桃佳は思い出したが、それでも自分はヘビなんて食べたことないし、食べたいと思ったことなんて無かった。
桃佳は
「だからって、私は絶対ヘビなんか食べないから!!どこかに逃してやりなさいよ!!」
「まったく、しょうがないのだ。それなら桃佳は焚き木に火を点けてほしいのだ」
恐怖のあまり体を震わせているのに対し、
その発言主は、桃佳のために捕ってきたヘビを名残惜しそうに逃してあげた。
そして言われた方は、焚き木を集めて火打石で火をそれに点けようとしたが、やったことないので上手くいかない。
「焚き木に火を点けることもできないとか、なんて役立たずな人間なのだ。
「じゃあ、最初からあんたが点けなさいよ!」
結局、桃佳が集めた焚き木に
桃佳はワイルドで上から目線な行動を取る
そして桃佳は、
やがて空は段々と暗くなり、
その焚き火もくべる木の枝が無くなったので、消えてしまいそうだった。こうして桃佳は、藁むしろを地面に敷いて眠りに就こうとした。
その時
しかし桃佳は、野宿などしたことないので、周りの暗闇の中から――――
こうして一夜明け、一睡もせず前日の疲れが取れないまま、玄龍祠に向かわねばならぬのだった。
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