39話
その行程を何回も繰り返していと体が熱くなっていき臍下丹田を中心とした五体の端から端の気脈へと流気が巡っていく。
それは、胡坐をかいたままの状態でも身体をじっとできないくらい、激しく血気盛んに力が湧き上がった。
それを次第に続けていると彼らの周囲では、あまりにも力を発揮しすぎて彼らの身体は激しく振動し、『ゴゴゴゴゴゴ……』という地響を鳴らしていた。
「うわあアアアア!!何かこう、超人的な力が出来せそう!!」
「あぁ、特に
「はっはっは!すごいだろ、この周天法で流気が全身の気脈に行き渡ったんだ。この周天法による“
桃佳と昌信は自らの力が覚醒したせいか、榮騏の説明を聞いて“内功”、“外功”、“軽功“という聞きなれない言葉が耳に入る余地など無かった。
すると久しぶりに周天法を実践しその感覚を取り戻した子瑞が彼らに声をかける。
「二人とも落ち着くんだ。榮騏が行ってたことを聞いていたのか?」
「うわアア!……ん?“ないこう”とか“がいこう”とか言ってなかったっけ?」
「おいおい!桃佳に昌信、二人とも俺の話を聞いていなかったのか!?」
桃佳と昌信は周天法によって、活発に流れる体内の流気を落ち着かせたが、榮騏は自身の話を聞いていなかった彼女らに呆れてしまった。
そのためもう一度、先ほどの説明を繰り返した。
「“外功”は身体能力を高めて怪力を発揮させ、武器を使う際に強力な力で攻撃することが出来る。“軽功”は素早く動くことや、高く跳躍することが出来るんだ」
榮騏が一度説明した“内功”に加えて、“外功”と“軽功”について桃佳らに説明した。
すると桃佳は、胡坐をかいた状態からサッと立ち上がった。
「じゃあさ、そこの木に一発殴ったら切り倒すことが出来るの?」
「いきなりそんなことをするんじゃねえ!まだお前らは、流気の調整が上手くできていない。身体がそれに追いつかず、動けなくなっちまうぞ」
確かに榮騏の言う通りにしておかなければいけないことを、桃佳は理解してすぐその場に座った。
今度は、昌信が榮騏に質問する。
「でも、俺が昨日陽招鏡から召喚させた槍から、氷の破片を放つことも周天法で全身に巡らせたことでその攻撃をすることが出来るというのか?」
「まあそうなるわな。ちなみに、その技のことを“
そう言われた昌信は、榮騏からさらに厳しい特訓を受けなければいけないのか不安になり、それが顔に表れてしまった。
更に榮騏は、桃佳らに付け加えて説明する。
「俺が昨日言っていたように、各四鵬国と鳳山高原には計五つの流気源がある。それぞれ木徳・火徳・土徳・金徳・水徳の五徳の流気が流れており、辰星泉からは水徳の流気が流れている。更に各五徳の流気は陰と陽の二つに分かれる」
「榮騏の言う通りだ。だが今は
現在の冬亥国の流気源である辰星泉の現状を加味して、子瑞は説明した。
それを聞いた桃佳と昌信は、このままだと陰と陽の均衡が取れずに前者が優勢になってはいけないことも聞いていた。
「だが昌信、お前の武器は
「その"陰陽制約"って何なんだよ?」
榮騏がそのように昌信に告げると、この陰の流気が冬亥国から四鵬神界中に流出してはいけないことは分かった。
しかし、彼が言った"陰陽制約"という作用について昌信は尋ねた。
「“陰陽制約”というのは、陰と陽が互いに均衡をとる作用のことだ。それぞれはお互いに依存し合いながらけん制もしている。陰の流気が過剰になっているから、それによる攻撃をお前の
「そうか、その攻撃があの槍によって“陰陽制約”になるってことなんだな」
自分の
「さあ、体中の気脈に流気が行き渡らせることが出来るように、周天法を続けるんだ。さすればお前らも“外功”や“軽功”、“流技”を発揮できるようになれるぞ」
「うん、分かった。でも私は
「そうなのだ。もう時間がないから、桃佳はその準備に取り掛からないとダメなのだ」
これで桃佳は榮騏による特訓から一人離脱し、明日にも玄龍祠に行くための支度を
その後も昌信と子瑞は榮騏の指導の下、周天法を続けて、全身の気脈の端から端まで、流気が流すことが出来るように取り込み続けた。
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