56話
女官らはもちろん、城内に住む大勢の住民が半魔によって弑されていた。
しかも彼らは、
そしてここにたどり着いて早々、四方八方からの大勢の半魔に一行のうち
それに対し、子瑞と
ちなみに、彼ら4人のうち
しかし急に半魔に襲われたため装着する暇もなく、戦闘状態に突入してしまった。
それにも関わらず半魔どもは、子瑞らを狙おうと水掻きのついた手指から鋭く長い鉤爪を剥き出しにした。
そのうちの一人、昌信は小指に
子瑞も榮騏も各々の武器で同様に、女性陣に対して守備を固くした。そしてかかって来る半魔どもの鉤爪による攻撃を、各々の武器で薙ぎ払って行く。
「てめェら!!こんなか弱い嬢ちゃん達を狙う気か!!」
「彼女らに指一本触れさせぬぞ!!」
「何を小癪な!!」
彼らは、半魔どもを斬り払って何人もの敵を戦闘不能状態にした。
桃佳ら4人も子瑞らに護られ、何とか被害に遭わずに済みそうだった。
その時、馬の姿となった玄龍が主へと声をかける。
『我が君、今こそ
どこにいるか分からないが、玄龍は桃佳にしか聞こえないように
一瞬桃佳は、急に彼の声が聞こえたので辺りを見回しても、その姿を確認できずにいた。
しかもその会話の内容を彼女は、ひどく受け入れ兼ねた。
(玄龍ったら、何言ってんの!!みんなのいる前で変身できるわけないじゃない!?)
『我が君こそ何を言っているんだ!!ここは
自分が思っていたことを、玄龍が読み取ったことに桃佳はハッとした。でもすぐに口を開かずに言い返す。
(アンタ、私の心が読めるの!?)
『そうだ!!我が君には変身してもらわねばならぬのだぞ!!そうでなければ、冬亥国王が……』
(確かにそうだけど……私変身したくないから!!あんな恥ずかしい姿をさらしたくないから!!)
その後もどこにいるか所在が分からない玄龍は、桃佳に玄龍娘々に変身するように執拗に要請した。桃佳は半魔から守られているとはいえ、彼からのプレッシャーに抗い続けなければならなかった。
その頃子瑞ら4人は、やがて次から次へと立ち向かってくる敵の数の多さに対応できず、やがてその勢いを失おうとしていた。
「ハハハ!!このままお前らは堪えきれないだろう!」
「もう……これ以上耐えきれぬ……一体どうすればいいんだ……!!」
4人はもう武器を持てないほど腕も足もガタつきだしている。
にもかかわらず味方に立ち向かって来た無数の半魔は、跳び上がって両方の手のひらから先程も放った撃流を一斉に放ち出した。
「流石にこれは防ぎ切れないのだ……!」
「くッ……こうなったら、俺が……!!」
何と!ここで昌信は決死の思いで、無謀なにも半魔からの攻撃を防いでいた3人の前に立ち、両手に持っていた凍牙槍を上に掲げた。
「昌信、やめろ!死ぬ気かよ!」
「馬鹿め!今度こそ、死ぬがいい!!」
今度こそ命を奪われるという覚悟を決めていた昌信だった。しかし、かれが凍牙槍を掲げた瞬間、自分達4人、そして桃佳ら女性陣を包むように、氷の結界が組成されたのだった。
これによって、半魔どもが放って来た激流を防ぐことが出来た。この事態にその本人達は驚嘆した。
「これは一体、どういうことだ!?」
「……そうか!!昌信の武器は
昌信の凍牙槍による思わぬ好展開となった。それを見た榮騏と子瑞もその槍が陽の流気を用いることで、どのような陰陽の性質を持つかどうかが理解した。
「よかった……助かった……!」
「すごいな、昌信!!」
昌信自身も自分の能力を発揮したことで、護られていた桃佳達女性陣は彼に感心し賞賛した。
「ち、畜生ォ!!よくも俺らの攻撃を防ぎやがって……!!」
それにより自身の攻撃を防がれたことで、半魔どもは動揺を隠せず、攻撃を止め、立ち尽くしてしまった。
「今だ、昌信!!そいつらに一発お見舞いしろ!!」
「
榮騏の指示の通り昌信は、凍牙槍に寄る
やがて半魔どもは斬り口から血を凄まじく噴き出し、それごと身体も凍りついてしまった。
彼らは地面に、瓦礫の上に叩きつけられ、その衝撃で凍った身体ごと粉砕した。
「昌信、やったぜ!!奴らに片っ端にやっつけたな!!」
「あぁ!そうだな!!さすがは陽招士だな!」
その様子が面白いほど多くの半魔を弑すことが出来、桃佳達女性陣も見ていて痛快な気分となった。
「…………危ないのだ!!みんな、後ろからくるのだ!!」
昌信が前方の建屋の瓦礫から出現した大人数の半魔ども成敗したと思いきや、
後方の城門の楼閣から彼らの親玉と思われる、先ほど成敗した雑魚よりも一回り大きな半魔が現れた。
「貴様らァ!!調子に乗りやがって!!これでも喰らえ」
「そうはさせないのだ!!ここは
敵が楼閣から声を上げたので、
「とうりゃアアァァッッ!!」
「小賢しいわ!!馬鹿めが!!」
しかし、その刹那だった。
「何が起きたのだ!?」
「消えただと……まさか、奴も軽功をつかったというのか!?」
子瑞らは軽功を使ったと思われる、姿を消した楼閣にいたはずの親玉がどこにいるか誰もが周囲に目を見張り、彼の居場所を探った。
「ハハハ!!馬鹿めが!!俺がどこにいるか、お前らの節穴の目には捕らえきれぬわ!!」
「くッ、どこから声がして、どこにいるか姿が見えぬのであれば攻撃も出来ぬ……!」
どうやらその辺を跳びまわっているのか、どの方向からでも親玉の声が聞こえる。
その移動速度は目にも止まらぬほどだったため、その姿が目に映らない。
子瑞らはいつどこから見えぬ敵から攻撃を受けてもおかしくないという、最悪な状況となってしまった。
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