第2話 天国でも楽しそう
「おぉ! 子供達は分かってるなぁ」
子供達が仏壇に上げてくれたものは私の食卓に上がる。不思議なもんで、天国というものはそういうシステムらしい。
「んぐっ……んぐっ……ぷはっ。あぁ美味いねぇ。スルメでもあれば尚いいんだけど」
食卓に出ないところを見ると、今日はこれでおしまいだろう。まぁ、母さんがご飯あげてくれるし、ビールも上げてくれてるから普段から困ってないんだけどな。
息子と娘達と飲めなくなったのが心残りだなぁ。母さんも一人で残してきてしまったし。
母さんから報告があった。友人が危ないんだとか。私も親交が会った人だから、何とかこっちに来ないように三途の川で追い返そう。
突如スルメが現れた。
「おぉ! 気持ちが伝わったか! コンロで炙って食べるかなぁ」
口に頬張るとイカの香りと歯ごたえがたまらない。これにマヨネーズと七味かけて欲しいところだけど、仕方がないな。
一通りご飯を楽しむと立ち上がり、外へと向かっていく。生前乗っていた車に乗り込む。天国ってのは思い入れのあるものを一緒に連れてこれるらしい。
まぁ、ものに限ると思うんだが。人を連れてこようなんて、思ってはダメだ。そんなことをしては、天国から落とされる。
さて、アイツはいるかな?
三途の川へ行くと友人が渡ってきそうだった。
「おい! 太郎の来るところじゃない! まだ来ちゃだめだ!」
太郎は笑顔になってこちらに手を振っている。
渡ってきちゃダメなんだって。
「来るな! 来ちゃだめだ!」
その舟を先導している人が迷わずこちら岸に向かってくる。
そうか。
もうダメなんだな。
こっちに来るしかないのか。太郎。
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