第3話 父の車を洗車

 今日は休みだし。

 車洗うかなぁ。


 母の友人が亡くなったと連絡が来た。

 亡くなってしまったか。

 父が迎えに行ってくれているかなぁ。


 自分の少し汚れた車を水で洗い流しつつ、借りてきていた父の車が視界に入った。


 洗ってあげたらお父さんも喜ぶかなと、自分の車を洗った後に丁寧に父の車を洗う。


 亡くなる前に父が運転していた時は、恐らく感覚が分からなくなっていたと思う。所々に傷ができていた。


 家の駐車場でぶつかったところが多いようだ。何の変哲もない駐車場なのだが、ハンドル操作とアクセル操作が難しかったのかもしれない。


 こうやって洗ってあげたら亡くなったお母さんのお友達をピカピカの車で迎えに行けるかなぁ? なんて思ったものだ。


 なんか自分の思い入れのあるものなら、一緒に天国へ持って行けると聞いたことがある。父なら日本酒と星のビールを持っていき、タバコも吸いたいかも。


 生前の趣味は畑の作物を育てることだったと思う。その使っていた畑を俺たちも苗を植えて、育ててみたのだが。


 ほぼ全滅してしまったのだ。父には笑われることだろう。天国でも農作業をしているのではないだろうか。

 

 こっちでは仕事一筋の人だった。

 趣味の様な娯楽は特になかったかと思う。

 趣味が畑みたいなものだったが。


 

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