第5話 9999
「うぅ……」しばらく時間が経過して、ララが目を覚ました。「……イテテ……死んだかと思った……」
重たい頭を無理やり叩き起こして、ララは立ち上がる。
そして無傷のまま扉の前に存在してるアテナを見て、
「……無傷ってのはショックだなぁ……一応、今のボクが使える最大の攻撃だったんだけど……」
自分で作ったロケットランチャーである。威力に関してはかなり自信があったのだが、それでもアテナの身体に傷はない。
「しかも……」ララは粉々になった盾を見下ろして、「こっちの盾も最大の防御力を持ってるんだけど……薄いガラスみたいに粉々にされると、自信なくす……」
挙句の果てには、
「……これ、左腕にヒビでも入ってんじゃないかな……」ララは自分の左腕をさすって、「想像以上にとんでもないバケモノみたいだねぇ……これに勝つとなると、骨が折れる……いや、折られる。折られたか」
ブツブツ言いながら、ララは飛び散った破片を回収していく。
そんな様子を見ていたアテナが言う。
「あなたの目的は何だ?」
「さっき言ったでしょ? ボクの科学力が世界最強だということを証明するの。そのためには……強いやつを全員ぶっ倒せば良い。だからキミのところに来たの」
500年無敗の機械を倒せば世界最強に近づくと思ったのだ。
「私より強いやつなど、多数いるだろう」
「そうなの? ボクは見たことないけど」
「魔王はどうした?」
「魔王様……? どうだろう……あの人が戦ってるところ見たことないからね」基本は指示を出すだけだ。「まぁ魔王様のほうが強かったら……キミをぶっ壊したあとに魔王様も倒すだけさ。それより強いのがいたら、それも倒す。そうすりゃ……いつかボクが最強になる」
誰が相手だろうと関係ない。いつか倒せばそれで良い。
ララは力強く宣言する。
「まずはキミをぶっ壊す。それがボクの最初の目標さ」
「その目標が果たされることはないだろう」
「あんまり舐めんなって。天才少女の力を見せてやるさ」ララはとある破片を拾って、「あった。これだ。これを探してた」
その破片のホコリを払って、ララは確認をする。
そして首を傾げて、
「9999……カンストしてる。マジか……」ララが持つ破片には、9999という数字が書かれていた。「ダメだこりゃ……こんな数値、はじめて見た」
「数値?」
「そうだよ。これは相手の攻撃の威力を測る装置なんだ。高ければ高いほど強力な攻撃ってこと」ララは数値をアテナに見せて、「9999は……この装置で測れる最大の値。偶然9999で止まるなんてことはないだろうから……キミの攻撃力は最低でも10000超え」
10000以上は一律で9999になる。
とはいえ、アテナの攻撃を受けても装置としての役割を果たしたのだから素晴らしい装置だろう。
「ちなみに今までの最高値は3200だよ。さっき私がぶっ放したロケットランチャーだけどね」自分で作った武器で自分の作った盾を攻撃した。ちなみに盾が勝った。「他の魔物の攻撃も防ぎきった盾だったんだけどねぇ……こうもあっさり破壊されるとは思ってなかったよ。いやぁ世の中は広い」
それからララは他の破片も拾い集めて、床に座った。
そのまま続ける。
「もう少しここに住まわせてもらうよ。キミを倒すまではここにいようかな」
「なぜだ?」
「どう考えてもここが安全な場所だから。キミに手を出さない限りは、だけどね」ララは部品を弄り始めて、「ちょっとばかり居場所をなくしてね。逃げてきたんだ。まぁボクの頭脳さえ生きていれば、なんとでもなるから良いんだけどね」
ララの表情に悲しみは浮かんでいなかった。本当に頭脳さえあれば良いと思ってる様子だった。
それどころかララは楽しげに笑いながら、
「というわけで……まずは攻撃力の強化だね。あとは防御力も9999以上の打撃を耐えられるものにしないといけないし……楽しくなってきた」
ララはそのまま、夢中になって武器や防具を制作していた。
目標は……500年無敗の機械を破壊することである。
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