第3話 アテナ
自分の作り上げた科学力が世界最強だと証明するために生きている。
ララと名乗った少女はそう言った。
「500年無敗の伝説の機械。キミは――」
言葉の途中で、また割り込んでくる声があった。
「あらぁ……? 番人がいるっていうから、もっとデカいのを想像してたんだけどね。ガラクタロボットしかいないじゃない」
「……またなんか来たよ……」少女が呆れ果てた様子で、「……どうせキミも一撃でやられるんでしょ? もう良いからさ、その展開。飽きたよ」
「? なんの話?」
「こっちの話」
冒険者4人と武道家が一撃でやれるのを見た少女視点の話。
しかし現れた女は自信たっぷりに、
「私はそのへんの魔法使いとは違うわよ? 大魔道士ってやつなの」
「へぇ……それはそれは。ずいぶんとお強いんだろうね」
「そうよ」大魔道士は指先に火の玉を作って、「あなたのことも焼いてあげようかしら。小さい女の子はよく焼けるのよ」
「ボクと戦う? 別に止めないけど……ボクのことを倒したって良いことないよー」
「そうなの? あなたも番人、ってわけじゃないの?」
「番人じゃないよ。それはそっちの機械さん」少女は機械を見て、「アテナ、って言うんだってね」
アテナ。
それが番人である機械に名付けられた名称だ。
「アテナちゃん……」大魔道士は少し意外そうに、「ずいぶんと可愛らしい名前が付いてるのねぇ……もっと濁音がついてるイメージだったのだけれど」
「マジンみたいな名前が付いてると思ったよね」だが実際にはアテナだった。「でも強さは可愛くないよ。もしも戦うつもりなら気をつけてよ」
「応援してくれるの?」
「少しでもアテナさんを本気にしてほしいからね。さっきの人たちは一撃だったからデータになんないの」
少女は機械の強さが知りたかったのだが、戦闘が短すぎてわからなかったのだ。
「本気も何も……壊しちゃうわよ?」
「それならそれで良いよ。ボクがあなたを倒すだけ」
最強が証明できれば良いので、相手は誰でも良い。
「ふーん……まぁいいわ」大魔道士はアテナに向かって、「じゃあ……いくわよ番人さん。あなたをぶっ壊して、お宝をもらっていく」
大魔道士は手をアテナに向けて、そのまま続けた。
「オム・デ・ネージュ……!」
言葉の瞬間、アテナの周りに巨大な氷のオブジェが完成した。先ほどの魔法使いの攻撃で上がった気温が、一気に引き下げられた。ララは1つクシャミをした。
「あっけないわねぇ……」大魔道士は勝ち誇った様子で、「このまま砕いてあげようかしら。それとも氷漬けにして持って帰ろう――」
言葉の途中で、氷が粉々に破壊された。巨大なオブジェが一撃で消えてなくなっていた。
その様子を見ていたララが、
「……またか……だからこの展開は飽きたって」
その後の展開はもはや言うまでもなかった。
アテナが氷のオブジェを破壊して、そのまま大魔道士に殴りかかる。その攻撃はあっさりと直撃して、大魔道士は壁に叩きつけられて床に転がった。
一撃で気絶。またそれだけだった。
「……キミの戦闘……ワンパターン過ぎない……?」
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