第3話 ゆうえんち

現実世界とは違って、この世界には鳥の囀りのようなものはなく、目が覚めても特に何も聞こえず、優弥に聞いて見ない限り、朝というものはわからないのである。


そんなことはさておき、今日は遊園地に行く日だ。


「準備できたよ!早く行こ!」


「そんなに慌てなくても遊園地は逃げないぞ」


「知ってるけど!あんま行ったことないから」


「行った記憶は?」


「うーん、あるかもだけど、覚えてないや」


優弥は驚いた顔をした後、悲しいような顔をして黙った。


「優弥?」


「いや、何でもねえ」


「そう?」


いや意味ありげだったよね?


「それより早く行こうぜ?はしゃぐぐらい遊園地楽しみなんだろ?」


「うん!そうだね!」


「じゃあ、一回目を瞑ってろ」


「?…うん」


私は不思議に思いながら目を閉じる。


どういうこと?


「もう開けていいぞ」


私は目を開いた。


「わあっ!」


そう、目の前には遊園地が広がっていた。


「魔法みたい!」


「まあ魔法とも言えるな」


「すごい!夢みたい!」


「喜んでもらえて良かったぜ」


彼は優しく微笑む。


「それより、まず何に乗るんだ?」


「ジェットコースター!乗ってみたかったの!」


「ビビっても知らねえぞ?」


「ビビらないもん」


「そうかァ?」


と優弥は意地悪な笑みを浮かべる。


別にジェットコースター怖くないもん。


〜〜


「結局ビビってるんじゃねえか」


「だって、あんなに怖いとは…」


「だからって、俺の腕を強く掴むな」


「それは…すいません…」


「まあ、いいけどよ」


なんかこのやりとりが懐かしく感じる。


デジャブかな?


「それより、アイスでも食いに行くか?」


「うん!」


私たちは、アイスが売っている場所に向かった。



「さっきのジェットコースターでもそうだったけど、スタッフや店員の人もいるんだね」


「あ、そいつらはNPCだぞ」


「そこにいるアイス屋の人も?」


「嗚呼、もちろんだ」


「さいですか」


マジか、この世界にもNPCって居るんだ。



私たちはアイスを買ってベンチで食べている。


「めっちゃ美味しい〜!」


「それは良かった」


私は、チョコミントチョコミント味の、アイス、優弥はバニラ味のアイスを食べている。


「ほっぺにアイス付いてんぞ」


「え?どこ⁉︎」


優弥は私の頬に手を伸ばした。


「取れたぞ」


そして、手についた先程まで私の頬に付いたアイスをペロっと舐めた。


「甘ぇな」


と不敵に笑う。


「っ!」


顔が熱くなった。


きっと、私の顔は真っ赤だろう。


「照れ顔も可愛いな」


私はしばらく顔の火照りを冷ませなかった。


To Be Continued

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