第18話 スキル看破の神鏡
「市長! 大変です! ダンジョンから【スキル看破の神鏡】が発見されました!」
「な、なんだと!?」
執務室を飛び込んできたエリサに対して、思わず叫んで返事をしてしまう。
それほど【スキル看破の
その鏡にはとある力がある。それは冒険者たちが持つスキルと呼ばれる力を、ある程度看破することができるのだ。
スキルとは各冒険者の持つ特別な力だ。例えば分かりやすい例を言うならば【剛力】で、このスキルを持つ者は力が強くなる。
他には視力がいい【鷹の目】、普通よりも多くの魔力を持つ【魔力向上】、魔物に怯えない【豪胆】はよく冒険者が持っているスキルだ。
だがこれ以外にもスキルは色々あり、例えばパッと見では分からない才能などもスキルになっていたりするのだ。つまりまだ見えてない才能すら判明させられることがある。
例えば【剣聖】は剣における天才的な才能を持つので、このスキルを持つ者は剣士になるべきだ。だが【剣聖】スキルを所有していながら、剣を振るったこともない魔法使いがいたりしたこともある。
つまり【スキル看破の神鏡】があればスキルの持ち腐れを防げる可能性が上がる。と言っても決して完璧なものではなく、取りこぼしがあったりスキルの判明に時間がかかったりもするのだが。
それこそステータスのわりに活躍しない冒険者は、能力が下がるスキルを持っていることが多い。当然ながら逆もある。
なんにしても神鏡がチートじみたアイテムであることに変わりはない。
「まさかあの神鏡が……! どの冒険者パーティーが発見したんだ!? 誰でもいいから絶対に買い取らなければ!」
「発見したのは【女神の四剣】です! すでに交渉し終えていて、市長の一日レンタル件と引き換えに確保しているです!」
「でかし……! ん? いまなんて言った?」
「女神の四剣が市長を一日レンタルしたいそうなので、それと引き換えに鏡を買い取れました」
「俺さ、しばらく旅に出るから探さないでくれ」
「なに言ってるんですか出不精市長」
……ぐっ、まあいいか。スキル看破の神鏡が手に入るなら、多少の修羅場などはなんとでもしてみせよう。
とりあえず神鏡だ、神鏡。あれを使えば今の冒険者パーティーたちの力も、より正確に分かるようになる。
「よしエリサ! 神鏡を使って現在の主要パーティーのステータスを調べろ!」
「はいですっ!」
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
「調べ終わったです! こちら報告書です!」
さっそくエリサが書類を渡してきたので目を通してみる。
【月光の牙】
前衛力E 後衛力D 魔法D 回復術D
『悲才』・・・優秀な才能を持つ代わりに運がかなり悪くなる。
『不運』・・・運が悪くなる。
『魔力タンク』・・・魔力回復が早い。
まずは追放されたルメスが率いる月光の牙か。
「なんというか全体的に悲しい感じのスキルが多いな」
「可哀そうなのです……」
「というか魔法使いのスキルしかないぞ。魔法使いはルメスひとりだけなので、他の前衛三人はスキルを持っていないということじゃん」
「ま、まあスキルが全てじゃないですから。次に行きましょう」
次の紙に目を向けてみる。
【トェンティの集落(第一部隊)】
前衛力E 後衛力C 魔法C 回復術D
『鷹の目』・・・弓技術に上昇補正がかかる
『疾風』・・・すばやさの上昇、風魔法の強化。
『痩躯』・・・防御力低下。
「エルフたちの部隊だけあってすごくエルフらしいスキルだな」
「イメージ通りという感じです」
弓に素早さに風魔法だからな。さて次はっと。
【熱き黒鉄の漢たち】
前衛力D 後衛力D 魔法D 回復術D
『山賊頭領』・・・配下のステータスが上昇。
『器用』・・・ステータスがまんべんなく伸びる。
『賊の才』・・・特定分野で極めて優秀な才能を持つ。
『山神の恩寵』・・・山の中ではステータスが上昇。
「……こいつらなんで冒険者やってるんだろう」
「いいじゃないですか。山賊なんかよりよほど」
「そりゃそうなんだけど適材適所の観点だと損してる気分になるな」
「とりあえずこのスキルは黙っておくです」
「だな」
まあ冒険者としても優秀だし、優れた山賊なんて生まれないほうがいいよ。
そして最後の一枚。我が都市最強の冒険者パーティーを確認すると、
【女神の四剣】
前衛力C 後衛力D 魔法C 回復術C
『勇者』・・・危機的状況なほどステータス上昇。
『覇王』・・・凄まじい豪運を持ち、精神に作用するスキルを無力化する。
『神才』・・・あらゆることに神に愛された才能を持つ。
『巨剣の担い手』・・・巨大な剣の扱いが極めて上手い
(その他不明スキルが十五ほどあり)
「ぶっ壊れじゃねーか!? しかも不明スキルが十五ってなんだよ!?」
「何度も鏡で確認しましたけど、文字が読めないスキルがそれだけあったです! スキルが多すぎてまだまだ判明に時間がかかるのです!」
さ、流石は女神の四剣だ。というかソールレイスだ。
勇者と覇王と神才は間違いなくソールレイスのスキルだろうし。
「ところでソールレイスさんって大剣使いなんです? 巨剣の担い手ってスキルがありますが」
「いやあいつじゃなくて他のパーティーメンバーが巨剣使いなんだ。そいつもソールレイスに劣らず優秀だぞ。というか四人に優劣がないからな」
「化け物集団なのです……」
結論。ステータスもスキルも強い奴は無双する。
そうしてゴーレム階層は着々と攻略されて、階層ボスを倒したとの報告が入った。
だが次の階層はアンデッドほどではないが問題児だった。
好まれるか嫌われるかで言えば、かなり好まれるタイプの魔物だろう。
だがかなり厄介で特定の人間は絶対に勝てないレベルの魔物だ。強いか弱いかで言えばかなり弱いが、歴戦のツワモノでも負けてしまう時がある。
そんな妙な魔物とは。
「まじか。次の階層はサキュバスか」
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