第14話 ゴーレムコントロール
俺は転移クリスタルを使ってダンジョンの第九階層、つまりゴーレム階層へやってきていた。
九階層は岩で作られた遺跡のフロアで、細長く狭い道が枝分かれして続いている。目の前にゴーレムが現れると倒さないと前に進めない。まさにゴーレムが活躍するための階層だ。
「市長。ダンジョンに入りたくないって言ってましたよね?」
俺についてきたエリサが細目で睨んでくる。
「違うぞ。ダンジョンに入りたくないんじゃなくて、外で夜を過ごしたくないだけだ。日帰りならダンジョンだろうが問題はない」
「普通はダンジョンを日帰りすることはないと思うのです。ロクに進めずに帰ることになるのです」
冒険者は四日以上ダンジョンに入り続けることも珍しくない。少なくとも日帰りするやつはほとんどいない。
日帰りだと帰り道のこと考えたらろくに進めないからな。仮に朝六時から潜ったとしても、正午くらいには帰り始めないと日が暮れてしまう。
ダンジョンは地下なのに昼夜があって夜に動くのは危険だからな。本当に不思議だ。
そういうわけでダンジョンを日帰りする冒険者はそうそういない。だが俺はゴーレムが目当てなだけなのでさっさと見つけて帰るのだ。
そんなことを考えてたらゴーレムが前から歩いてきた。こちらを見つけたようでノシノシとゆっくり近づいてくる。
「サンダーブレイク」
さっそく雷魔法でゴーレムの両足を粉砕。さらに両腕もついでに壊した。
ガラガラと崩れ落ちるゴーレム。ダルマ状態になったゴーレムは動けもせずに、呆然と天井を見つめている気がした。
「よし確保だ」
「ゴーレムはコアを狙って倒す魔物なんですが……」
「コアを壊しちゃったら再利用できないだろ。出来ればもう一匹くらい連れて帰り……む、ビリッと来た。近くに【女神の四剣】がいるな……」
俺は【女神の四剣】にお手製の強制帰還の札を渡しているので、彼女らの誰かが近づいてきたら分かるのだ。
「よし逃げるぞ。見つかると階層ボスの部屋まで連行される」
「おかしいのです。なんでゴーレムから逃げないのに、冒険者パーティーから逃げないとダメなのです……」
「だってゴーレムよりあいつらの方が数倍厄介なんだもん……」
そうして俺たちは転移クリスタルの前まで帰って来た。ちなみにダルマゴーレムも雷で浮遊されて運んでいる。
転移クリスタルは人より大きい巨大な水晶で、魔法によって空中に浮いている。これに触れば人が踏み入れたことのある好きな階層に飛べるのだ。
「じゃあアンデッドの第六階層に行くぞ。あそこならほとんど人がいないから、ゴーレムに細工しやすいし」
「行きたくないのです……」
転移クリスタルに触って念じると周囲の風景が変わっていく。
岩壁の遺跡だったのに墓場のような場所に来てしまった。周囲を見回すと人はいなさそうなので、ゴーレムのコアをいじるとするか。
ゴーレムの身体を雷で作った雲で持ち上げて宙に浮かせて、背中についているコアを少し観察してみる。
「うーむ、少し面倒な術式だがこれならハックできそうだな。平坦な階層ならゴーレムに攻略を手伝わせるのも可能かもしれない」
イメージとしてはルンバだろうか。ほら勝手にダンジョンに潜らせて、魔物を倒させて掃除していく感じ。
壊れたら終わりだけど九階層に潜ればまた補充できるし、そもそも魔物がゴーレムを倒すのは至難の業だ。ゴーレムの弱点を知らないからな。
「本当にゴーレムにダンジョンを潜らせるんですか? 他の冒険者と鉢合わせたら危ないと思うのです」
「大丈夫だ。ちゃんと操れると確認して、何度も実戦テストした上で行う」
「冒険者側が野良ゴーレムと間違えて壊しちゃいそうな気もするです」
「顔を赤く塗って分かるようにするよ。流石に顔真っ赤ゴーレムは自然に出現はしないし。それに万が一があったとしても人相手に反撃はさせない」
「なんで頭なんです?」
なんとなくサイレンっぽいから、と言ってもエリサには伝わらないだろう。
どうせならピーポーと鳴ってくれたらなお面白かったのだが。いや魔物が逃げるからダメか。
「分かりやすいと思ったからだ。肩を赤く塗ってもいいけど」
「全身塗ったらダメなんです?」
「塗料も無料じゃないし」
「ケチなのです……」
ゴーレムは使い捨てなのだからデザインにこだわる必要はない。
分かればいいのだ分かれば。
「じゃあ使えそうな階層があったらゴーレムも攻略に加えていこう。と言っても段差や坂があるだけで厳しいから、そうそう運用出来ないとは思うが」
「不便な魔物ですよね。もうちょっと足回りがよければいいのに」
「そしたらダンジョン攻略の仕事は冒険者じゃなくて、ゴーレム軍団がやることになりそうだな」
サウザン都市はゴーレムを手に入れた。
ちなみにゴーレムは単騎運用する予定だ。複数を固めても潰し合う未来しか見えないし。ちなみにステータスはこんな感じである。
【ゴーレム】
前衛力B 後衛力G 魔法G 回復術F
死んでもいいというのが一番の利点だろうな、うん。
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