第3話 渡河する北条 敵前逃亡の里見
朝もやが立ち込める松林から北条の軍勢が姿を現した。数は数千を超えており、一度に渡河する兵数としては想定外の規模であった。
足利義明は城の防備を嫡男義純と里見義堯に命じると城から討って出た。
北条との激戦がしばらく続く中、血相をかいた兵士が義明に伝令を伝えた。
「申し上げます。北条の別動隊が国府台城を奇襲。本丸は占拠された様子にございます」
「なに?城の守りは里見に任していたはず。里見はどこにったのだ?」
「わかりませぬ!」
今度は、手負いの兵士が現れ、義明に伝令を伝えた。
「申し上げます。義純様、お討ち死に!!」
「何だと!!!」
国府台城落城の際の光景が足利義明の脳裏をよぎった。
里見義堯は小弓公方を裏切り、北条を城に迎え入れて敵前逃亡。残された嫡男の義純は孤軍奮闘するも抵抗虚しく討ち死に。
「おのれ・・・」
里見が裏切ったならば、再起は叶わないだろう。足利義明は奥歯をぎりぎりとかみしめていた。足利軍は北条軍の数に押されて瓦解し始めていた。
足利義明は馬に乗ると単騎で敵本陣へ向けて駆けていった。
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