式神さんありがとう

船越麻央

ハッピーエンド

「冬月さん……」

「北風クン……」

「ホントに僕でいいの?」

「はい……よろしくお願いします」


わたしは冬月時雨。白金学院大学文学部の四年生です。来年卒業して就職することになってます。

 この四年間、充実した学生生活を送ることができました。それで、その、わたしは今幸せです。じつは高校時代からの懸案事項だった、北風響君との関係がようやく進展したのです。

 どうなったのかって? えー、そんなにあわてないでください。今からお話ししますから。


「いやー冬月さん、良かったです。頑張った甲斐がありましたよ。これで吹雪さんに怒られずに済みます。アハハハ」


 式神の村崎式部さん、お世話になりました。元死神だそうですけど、わたしたちには優しかったです。時々不適切にもほどがあることしてましたけど。天霧吹雪先生に命じられて渋々わたしたちに関わってくれました。何でもハッピーエンドにしないと天霧先生に𠮟られるそうです。おかげさまでうまく行きました。感謝しています。

 そう言えばお仲間に瀬井少納言さんがいるそうです。お会いしたことありませんけど。


「冬月さん、わたしを忘れないでね。まったくもう世話が焼けるんだから。北風君とうまくやってね。わたしも負けないから!」


 親友の早波若葉さんです。大学に入ってからお友達になりました。ポニーテールの似合う素敵な人です。わたしと違って何事にも前向きな性格なのですが、幼なじみの男性との関係には苦労していました。彼はわたし達と同じ大学の経済学部の学生ですけどね。世の中上手くいかないものです。わたしだけ幸せになってごめんなさい。


「冬月さん、おめでとうございます。いつもお店に来てくれてありがとう。北風君の事はよく分からないけど、冬月さんなら大丈夫。わたしも負けないから」


 有明カスミさん。わたしたちの行きつけのカフェのお嬢さま。マスターの娘さんだそうです。実は早波若葉さんの幼なじみのアルバイト先なのですが……。彼は大学を卒業したらお店を手伝うそうです。といことは有明カスミさんと……。カスミさんは亜麻色の髪の乙女で若百合女子大生、才色兼備なのです。どうなるのかしら。彼は優柔不断みたいだし。わたしコワイです。


「冬月さーん! おめでとう! 良かったじゃない! アイツ浮気性だから気をつけてね!」


 高校時代からの友人、峯雲深雪さん。北風君をアイツ呼ばわりするんです。実は彼女、栄応医大の人と学生結婚したんです。信じられませんよね。でもうまくいってるみたいです。将来は某大病院の院長夫人! 俗に言う玉の輿ですね。でも良かったです。だって、彼女も北風君のこと秘かに……。


 という事で無事ハッピーエンドになったみたいです。なんでも深刻なバッドエンド症候群だったそうで。いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、天霧吹雪先生ありがとうございました。

 ついでにイラストはエロマンガ先生よろしくお願いします。え? ダメに決まってるだろうって? そ、そうですよね、わたしったら……。


 とにかく式神の村崎式部さん、これからもわたし達のことよろしくお願いします!




 


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