〜26〜クロの秘密、玄之のチャーハン。
『玄之が最近おかしいと思うのか』
『はい、クロさん分かりませんか?』
電話越しに煜は黒へと質問をする。黒は少し悩んだ後、不思議なことを口にする。
『一つ面白い話をしよう……ある男は秀でた才能を持っていた。だけどそれはある人に憎しまれ他の人たちと一緒に焼き殺されてしまった。だけど神様はそれをいけないと思い違う生き方を教えてくれた。俺が言えるのはそれくらいかな』
『クロさん、意味がわかりません。どういうことですか? その才能とはなんだったんですか?』
『そうです……! 私ですらわかりません。もっと理解しやすく言って欲しいです』
そう問い詰めたところで意味はないと思っている。
クロさんは秘密を抱えている。
心も読むこともできない。
そしてその秘密に近づくような質問をすると記憶を無くしてしまう。
そのようなことを風の噂で聞いたことがある。
謎の人物、謎の言語などいろいろなことを言われていたが噂でしかない。そう思っていた。
『しょうがないな……【
[Memory erasure #target/four people other than myself #effect/erasure of previous memories, clouding memories #time/∞]
その言語を打った瞬間、四人は記憶が霞む。
今まで何を話していたのか、どうして通話に黒さんがいるのか。
黒さん自体も来たのはイタズラとかではないのか……?
思考が鈍くなっていて、今から会話することも一時的とはいえ難しいだろう。
私たちは何か悪いものを刺激していたのだろうか? そうに違いない……。
『“君達は知りすぎてしまった。これは私たちの問題だ。今も、これからも知ることはない……それじゃあ、また会う時まで”』
黒は何か知らない言語で話し始める。
これは黒などの日本人にしか知り得ない未知の言語であり、この世界以外で実在する言語である。
そして通話は全て切れるのだった。
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玄之は学校から家に帰って来て少しホッとしていた。
最近はプログラミングの練習や検証に忙しく、頼れる相手はディアくらい。
「お主、またやっておるのか。帰ってからも夢中でやっておるな」
「ごめんね、ディア。自分でやらないといけないんだ」
最近は、プログラミング言語を覚えるのと同時に自分がなんのスキルを使って行使したのかを検証している。
自分で使ったことすらも記憶していなく、ディアから本当に起きた事を教えてもらった。
ダンジョンブレイクか起きてしまい、火焔龍ディアボロスは場所を移動させられた。
そこにたまたまいた玄之達に発見され、煜さんたちは転移で移動させた。
そして謎のスキルを使い火焔龍ディアボロスを従えた。
その火焔龍こそがディアということだ。
そのスキルがプログラムを操るものなのではないのかと仮説を立てている。
プログラムを操るスキルなのだとすると、カバンにこのような術式を魔術媒体液で書き込んだら……。
[Granted magic #effect/space-time expansion, time stop, save magic grant #time/∞]
多分、カバンの中身が大きくなったはず。
中を見ると確かに少し大きくなっている、小さなショルダーバッグがリュックくらいのスペースになっている。
手を入れると見た目的にはバッグの大きさは変わらないのだが手がすっぽり入るのだ。肘くらいまで入るので意外と日常でも使えるかもしれない。
検証は成功したのだ。
これで何個のバッグなどが犠牲になったのだろうか。
魔術媒体液も結構無駄にしてしまったし。
ちなみに魔術媒体液とはモンスターなどから取れる魔石や、モンスターの血、魔法水という水を混ぜて作る液体のこと。
それを使うと魔法陣を描くタイプの魔法の媒体にできるのだ。
本当なら自身の血を使うようだがいまでは魔術媒体液が主流だ。
ちょっと高いのが難点だが250ゴールドあたりが一般的なランクで、600ゴールドのものを使うと効果が段違いに変わる。
大体外食をすると75ゴールド程度だ。
外食3回分と考えればマシになるかもしれない。
今までは一般的なものを使っていて、上手くいったので高いやつを使ってもいいのだろう。
お金は黒子で稼いでいるので問題ない。
「お主、そろそろご飯が食べたいぞ……」
「ごめんごめん、もう夕方だったね! じゃあ卵とご飯、ネギもあるからチャーハンでも作るか」
「なんだその『ちゃーはん』なるものは、美味いのであろうな?」
美味しいし、腕には自信がある。
その辺と定食並みにまでは作れているはず。
まず、材料はクルッカーの卵、ご飯、ダンジョンネギ、ムーのバラ肉(塊)を用意します。
まずダンジョンネギは細かくカットします。キッチンバサミを使うと手早くできます。
ダンジョンネギは魔力を吸っているので栄養価が高いことで知られています。
ムーのバラ肉は2センチサイコロ状に切っておき、黒子特製秘伝のタレをタッパーなどで付ける。【料理人 レベルⅦ】発動して時間を短縮する。
タレは実在には夜はずっと漬けておかないといけないのだが、【料理人 レベルⅦ】のおかげで3分もしないでつけ終わる。
「ディア、少しブレス吹ける?」
「まぁ出来るが、何に使うというのだ」
「料理に火が必要だからさ、ないと美味しくなくなるかもよ?」
ディアは悩んではいるがご飯の誘惑には勝てないようで。
「しょうがないの……」
ブレスを吹いてもらったのをひとまとまりにする。
球体にして浮かせておくと便利だ。
漬けたバラ肉をディアの貰ったブレスでじっくり焼く。
ここでも【料理人 レベルⅦ】を使っているので時間はそれほどかかることはない。
「その間にクルッカーの卵を溶いて、【料理人 レベルⅦ】発動」
溶き卵を大きなフライパンに入れる。
ディアのブレスを貰い火を纏わせて卵を焼く。
その時になるべく早く焼きふわふわの状態をなるべくキープするようにすると美味しくなる。
そしてご飯をどーん!
パラパラになるようによく振り、お玉でかき混ぜる。この時に切るように混ぜるとパラパラになるんだとか。
ちゃんと振ればパラパラになるのでそこにダンジョンネギを入れる。
そしてダンジョンネギに火が通ったらニンニク、香味ペースト、玄之特製秘伝のタレを入れます。
秘伝のタレを入れることにより、お肉との一体感がでて美味しくなります。
ニンニクは気分によって量を決めましょう。
明日は土曜日で予定もないのでちょっと多めに入れますか。
そして火が通ったムーのバラ肉をチャーハンの中に全て入れます!! この時にタレを入れないようにしましょう!
そしてサッと炒めたら……。
「完成! 『ムーのゴロゴロチャーシュー入り秘伝チャーハン』です!!」
「おぉ! 美味そうやの! 早く我にも欲しいぞ」
「はいはい、ちょっとまってね」
ご飯をねだる犬のようにキラキラした目をして足元で頭を擦っている。
少しゴツゴツしてツボをしっかり押しているみたいだ。
火焔龍とはいえ、こういところは可愛いんだよね。
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読んでいただきありがとうございます。
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