〜25〜元の玄之、今の玄之。そしてプログラム。
「ここは……知らない天井……?」
ここはどこなのだろう。ベットの上に寝かされていてところどころに包帯が巻いてある。
起き上がると痛みが走るが耐えれる程度である。
周りには高価な壺や家具が置かれており、どこかの豪邸なのだろか? 扉は一つついていてそこから外へ出られるだろう。
でも何故僕はこんなところにいるんだ?
コリニアス迷宮にいって、雑魚狩りをして……レッサードラゴンを狩って、ドラゴンと会ってしまった……?
そのドラゴンに子供を託された……はず。
そこからの記憶がない。
膝の中にはゴツゴツした何かがおり、触るとひんやり冷たく鱗のようなものだと思う。これがドラゴンの子供なのだろうが寝ているようですこし寝かせてあげよう。
しかしゴツゴツしたものはさっき触ったからなのか、ベットのなかでモゾモゾと動き顔を布団から出す。
赤くて綺麗な瞳に、ひんやりした鱗、小さな翼にはピンと膜が張られている。
今にも飛んでいきそうな可愛らしいドラゴンなのだろう。
「お主、我が分かるか?」
「……ドラゴンの子供ってことだけ。なんでこんなところにいるかもわからない」
「そうか、記憶がないのか……あんなのが日常で使われたらとんでもないだろうからな、」
記憶はある、あるんだけども少し曇っている気がしている。
本当の何かを忘れているような……。
なんとなくそんな感じがした。
ドラゴンと話せるのは凄いことだが、喋るドラゴンを兄さんと見たことがありそこまでは驚かない。
「君の名前はなんなの? あるなら教えて欲しいな」
「我の名か……ディアとでも呼ぶがいい。我はお主のテイムモンスターであるゆえ、命令は聞き入れよう」
「ディアか、よろしくね。僕は
そう伝えると何か悩むように考えるディア。
何かが引っ掛かっているのだろう。やはり黒子という職業だろう。ここ最近現れ始めた職業だし、謎も多いし……。
違うのかな?
「お主は苗字を黑杉と名乗ったの、その名前に聞き覚えがある。たしかソイツは
「僕の兄さんの名前だよ、兄さんはやっぱり強いんだな……それに比べて僕は」
そう話しているとドタバタと扉の奥から足音が聞こえ、扉は勢いよく開けられる。
「玄之くん! 起きてくれて良かった……!」
その正体は琉偉さん。玄之を強く抱きしめ、なにか思い出したのかすぐに離す。多分、煜さんとの約束の件だろう。
これで勘違いされるのはゴメンだ。
琉偉さんの目は涙がポロポロと溢れていて、これだけの心配をかけてしまったのだろう。
「でも、死んじゃうんじゃないのかって思ったら苦しくて…………本当に生きていてくれてよかった……!」
「僕はもう大丈夫ですから……心配かけてすみません。あ……そうだ、ディア? 挨拶してね」
「クルルルッ」
あれ? 喋んないのだろうか。喋る動物やモンスター自体が一般的ではないから合わせているのだろう。
「ディアくんは知ってるもん♪仲良しだもんね!」
「クルッ♪」
よし、険悪ムードを破ってやった。
あのようなムードは絶対イヤだし、心配されるような人ではないのだ。
ヒロインや主人公達に感情的になってはいけないのが黒子のルール。
最悪な奴だとは理解している。
寄り添ってもらっている相手を無碍にしているのだから。
黒子という職はただの裏方。
裏方は裏方らしく生きていくのが流儀というものだと兄さんから言われていた。
あと、黒先輩からも……。
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……誰だ? 黒先輩って誰だ?
僕は知らない、記憶がない……、なんだ? この記憶は……?
瑠偉さんが部屋から出たのちに考える。
ディアも一緒に遊びに行った、気楽に考えられる。
「先輩! ありがとうございます! これでやっと完成ですね、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎が」
「お前は俺らの誇りだな、これが俺らが作った正真正銘の世界だ」
パソコンを使って何かを打っている、それが完成していた。
これは誰だ? 僕に似ているところがある。
この文字列は知っている、記号……違う。プログラムだ、独自のプログラミング言語を作ったんだ。
このゲームの為に……? この世界のために……。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎のために、売れたけど……あっちで死んだ……?
そうだ、僕は、俺は……玄之。
黑杉ではなく、
秘密裏に、表の顔を作り、この計画を実行するのだと。
この世界を治していくのだと。
それを知られずにこの世界を治していかないといけない。
この世界の
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数日後……。
『玄之くん、最近おかしいと思わない?』
『そうか? 普通にしか見えんわ』
電話で連絡をしていた。
いつも話し合っているのだが、玄之の異変に気がついていたようだ。
一人で生活できるようになったので煜の家から帰ったのだが、その日あたりからおかしくなっている。
と、話し合っているのだ。
ちなみに玄之は記憶を辿ってプログラム言語を習得しようとしていた。
『脳筋は気づかないのか……なんとなく話しかけられないオーラを放っているというのだろうか』
『分からんくてすまなかったな! メガネさんよ!』
『あ゛ぁ!? 煽るのではダメだと何度言えばいいのか? やはり煽るか、筋トレかの二択しかないのか?』
『まぁまぁ、二人とも。今は話し合っているんだ。話さないのなら通話を切るよ?』
『『すまない……』』
『よろしい、だが玄之は何を考えているのかは琉偉ですら分からなくなっているらしい』
『そうですね、前なら筒抜けだった心の中が遮断されてしまってるのです。私たちのような方法ではなく、魔法か何かで遮断されていて……私にはこじ開けるようなことは出来なくて、すみません』
玄之も玄之なりに対策をしていたということだろう。
直接聞くのは論外だし、知っていそうな人に聞くしかないのだろう。
なら、お兄さんに聞いたら分かるのではないかということで話を通してもらえるように玄之に聞こう。
『黒さんからきてくれたらいいのに……』
『呼んだかい? ヒロイン達、俺はいつでも呼んでくれれば来るよ?』
本人が電話に入ってきたのだ。どんな手を使ってたら個人での電話には入れるのだろうか……?
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