〜16〜『黒子協会特別学会サポート専門主人公補佐官』
今日は学園祭! 玄之くんにメイド服に変えてもらったし、可愛いんじゃないかな。
この玄関前で看板を持ってクラスに人が来るようにしないと。
周りには看板を持って人を集めるライバルもいる。
ここではいかに人を惹きつけるかがポイントになると玄之くんは言っていた。
ここなら一番活躍できる。最初に一気に人を集めて、その後一定数の集客をするために店員さんとして営業する。
それが今回の作戦。
そうすることで人はいつも多くなるという予測を立ててくれた。頑張らないと……!
そしてチャイムが鳴り響きスタートの合図を告げた。
ここからは私は。琉偉はヒロインではなく、メイドだ。
「いらっしゃいませ! 2のBクラスはメイド喫茶をやってます♪是非来てください!!」
「1のDクラスは射的だ! うまいと思う人はここに来て景品を取ってな!!」
「3のAクラスはお好み焼きやで! みんな来るんや! 美味しいで!!」
可愛いポーズ、可愛い服、そして自分は可愛い。
そう思いながらこの
そしてその頃、玄之のクラスは人で溢れかえっていた。
やはりヒロインのメイド姿は目を引くのだろう。
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「戻りました〜♪疲れたー」
そう言いながら琉偉さんが帰って来た。
外は暑いだろうし大変なのはわかる。
「お疲れ様でした、これからはこのエアコンが効いている部屋での活動なのでゆっくりしながらして下さいね。……あ、後これ、煜さん達から琉偉さんにと……」
そう言い名刺を渡す。
古鳥の名刺を琉偉さん用にもと貰っていたのを忘れていた。
覚えていて良かった。
そして琉偉さんがその名刺を見ると何かビックリした様子だ。
「……これって玄之くんも同じやつ持ってる?」
「持っていますけど何か……?」
わかってないなんてみたいな呆れた顔をし、話し出す。
「はぁ、これ招待券だよ? 少量しか発行しないと言ってたヤツ」
そういえば学校でそんなことを話していたな。
これがあれば好きな相手を無料で指名できる権利と、ドリンクバー無料券という高待遇。
今更だけどこれって貰ったらいけないやつだったかな……? 返した方がいいのか? いやでも無礼に当たるし……。
「くれたのならちゃんと使えばいいのに、これが終わったら一緒に行こうよ♪ね?」
え、一緒に行くの? どうしたらいいんだ? 下手に勘違いされて恋人とか思われたらいけないし。
でも、そんな事はただの妄想でしかないから行っても良いのだろう。
「……そうですね、後で行きましょう」
「やったー!」
ここまで喜んでくれるのなら行くしかないね。
そう思って営業を続けるのである。
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ここは2のAクラスの目の前。営業が終わりここに琉偉さんと来ました。
中は見えないように暗くなっているが、周りにあるポスターからして少し他とは違うリッチさがあるように見える。
そして並ぼうとした時に店員さんから話しかけられ後ろの方から中へと入った。
中はとんでもなく綺麗に、そして精密に作られた個室。
赤や黒を基調としたソファーやテーブル。
壁までどうやって作っていたのか疑うほど上手く作られていた。
「こちらへどうぞ、ごゆっくりお寛ぎください」
「すごくリッチだね、これが教室なんて思えないけど……」
「それはそうですね、まず個室なんて高待遇にも程があると思ってしまいます……。でも、本当にここにいて良いのか……? (小声)」
だがこの凄さに違和感を感じた玄之。
ここまでのものを短期間で、高クオリティで学生が作れるかどうかという事だ。玄之はスキルで出来るがそれとは訳が違うのだ。
少しソファーの横側を確認するが……やはり黒子協会のマークが描かれていた。
これは黒子が小道具や物を作った時にハンコでわかるようにするのだがそのマークがこの黒子協会のものだ。
しかも本部のマークなのでそこまでして成功させたいのだろう。
黒子連合かと思ったのだが違ったみたいだった。
煜さん達には期待が高まっているし当然なのか……? わからない……そこまで本部の内情は知らない。
一応、玄之がやっている主人公や攻略キャラの補佐をする仕事は『黒子協会特別学会サポート専門主人公補佐官』っていうのが本当の正式名称である。
補佐官の上司にあたるのが兄さんなのだ。
『黒子協会本部サポート専門全体指揮官』が正式名称らしいけど長くて難しいと思ってしまうのが本音。
まぁそんなことを考えるより今は楽しむしかないのかな。
「飲み物はどうする? 私はオレンジ炭酸割りかな〜」
「僕はオレンジジュースでいいかな、この場合はショットみたいな扱いになるのかな?」
「そうかもしれないね♪まぁ煜とか店員さんを呼ぶから待ってて」
そう言い机にあるベルを鳴らす。
すると奥につながっているだろう扉からさっきの店員さんが来た。
そして琉偉さんが淡々と注文をする。
「オレンジ炭酸割りと、オレンジジュース。煜を指名でよろしくお願いします」
「承知いたしました、少々お待ちください」
奥へと帰って行くとその後に煜さんが出て来た。
いつもの制服とは違ってブレザーを肩にかけホストのような印象を受ける。
というかやっている事はホストバーって感じなんだけど。
「琉偉、疲れたんだけど……みんな俺ばっか指名して他の男子達なんか遊びに行って」
「大変なんだね! ガンバって♪」
そう言い煜さんを労う琉偉さん。
「そんな言われてやる気が出て来たわ!」
煜さんも少し顔が明るくなり、やる気は充分なようだ。
「煜さんこれどうぞ、差し入れです」
そっとお弁当を差し出す。
唐揚げもちゃんと入れたので喜んでくれるだろう。
いつもより大きめなのは僕からの応援というか、頑張ってくれないといけないから。
「お、ありがとう! お腹が空いてたんだよ」
この後はここで撮影するみたいだし、そろそろ行くのが良いかな。
これで午前中の仕事は終わった。
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読んでいただきありがとうございます。
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