〜15〜玄之はショタ呼ばわりされる。


学園祭前日、クッキーや机などの配置、コーヒーを沸かすためのコンロなどを準備した。

あらかじめやることはわかっていたので直ぐにできた。


しかし、男子の【コスプレを作れるようになるスキル レベルⅦ】が上手くいかない。

頭が固くて想像ができないみたい。


なので急遽、玄之が【コスプレを作れるようになるスキル レベルⅦ】を想像してやるととなる。

想像するのは簡単だけどちゃんとやれるかどうかが心配。


でも他のキャラクターなどは直ぐに出来ていた。

自分は想像できないのにキャラクターなら良いってどういうことだと思ってしまった。



そんなことがありながらも前日は何事もなく終了した。




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そして今日は学園祭当日。

学園に通っている人や、保護者、街の人までこの学園祭に来るようだ。

学校も可愛く飾られて玄関前では屋台や宣伝のための人達で賑わっていた。


僕たちはまずは店番をすることとなっていて、ヒロインは外で宣伝中。

女子も男子も綺麗な服を着ていて完成度は高いようだ。


みんな意気込みは充分、あとはスタートを待つのみ。


そして待ちに待ったチャイムが鳴り響きスタートの合図が聞こえる。

客が廊下に流れ込むのはすごくビックリした。


黒子会議での開催当日の予想より人は増えていた。

みんながヒロインのメイド喫茶っていうから来たなどとは知らないだろう。それに加えて黒子が来るように工夫をしていたのもあるが玄之は知らない。



「いらっしゃいませ〜!」

女子が廊下で客を集める。

他とは違う格別感を感じたのかどんどん人は増えていく一方。

下の階からだんだんと登ってきて直ぐに机が満員になっていた。急遽、整理券を作って並ばせたくらい多くて大変だ。

整理券も玄之が作っていて、順番になると自動的に見た目が変わる仕様。そうすることで混雑し過ぎてしまうことを回避している。

そして教室内は玄之を増やして対応していて、見た目が違うクロエちゃんが増殖中。ツインテールとかポニーテールとか、ショートヘアまでいる。

男子もタキシードを着ていて慣れない様子。

女子はどうかというと……。


「紅茶とクッキーですね! 承知いたしました、3番テーブル紅茶とクッキーを1つずつ!」

「承知いたしました!」

順応していた。

僕だって慣れているけど結構大変なんだよ?

性格を変えるのは一番苦労したのを覚えている。


テーブルに男子や女子、クロエちゃんは注文の品を運ぶ。

玄之は全体を見ていて、場合によってはクッキーの補充や会計までしている。

「ありがとう! 小さいタキシードのショタくん?」

「いえいえ、それほどでも」


クロエちゃんや、女子が人気なのはわかる、意外にも玄之が人気だったのは解せない。

ショタじゃないもん、僕は一応高校生だもん。

背が小さいし、顔が童顔なのはわかる、わかるけどもショタではない。ショタの年齢は過ぎている。


琉偉さんやクロエちゃんは順調に人気を伸ばしておりそのおかげもあり収益は順調。

そして攻略対象御一行もご来店……。


「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」

男子が攻略対象達を椅子へ誘導する。

男子も、攻略対象に怯えているのか少しハキハキしていない感じがする。


「玄之くん、ちょっと良いかな?」

「はい、どうされましたか?」

近くにいた玄之が対応をする。

煜さんからのオーダーのようだ。


「紅茶とクッキーを三つずつくれるかな?それで良いよね、二人とも?」

「俺は良いぜ! 早く食いたいわ!」

「 私もそれで良いです、ですが脳筋うるさいですよ?」


「なんだと?! メガネ風情がそんなグチグチうるさいわ!」

「あ゛ぁ?」

二人で喧嘩してる、もうこれが普通なんだろうな。

煜さんも仲裁には入っているが『また始まったわ』みたいな呆れた顔をしている。放っておくのが正解なのだろうと察する玄之。


「承知いたしました、繰り返します。紅茶とクッキーが三つずつですね?」


「はい」

「では失礼します」



ア゛ァ!! 緊張したァ! これでも執事がメインのサブ職業だから良かったァー!!ほんっとうににやっていてよかった……!!

失礼、叫んだりしてはいけませんね。

……でも、まだ正宗さんや永さんには緊張してしまう。

直さないとなぁ、慣れない人に緊張するクセ。


そうやって考えながらクッキーや紅茶を取りに行く。

「紅茶とクッキーを三つずつ、5番テーブルです」

「わかりました、玄之さん。これを持っていってください」


「さすがクロエちゃん、仕事が早い。まぁ僕の複製なんだけどね」

さすが自分、相手が何を求めているのかが瞬時に理解している。

そうして玄之は紅茶とクッキーを両手のお盆に乗せ直ぐに持っていく。

「こちらご注文の品です、ごゆっくりどうぞ」

「玄之くん、これをあげるよ」


「はい、ありがとうございます……?」

煜さんから名刺のようなカードを渡された。

【学園バー・古鳥】と大きく書いてあり、この名前は煜さん達が運営している学園祭の出し物の名前だったはず。


バーをやると聞いてビックリしたのを覚えている。

お酒は出さずにジュースを炭酸で割ったりして楽しむんだとか。さすが考えることが違う。

そんな恥ずかしいことはできない。


あれ? でもメイド服を複製体とはいえ女装して着させるものは恥ずかしいのか……?

考え直すと自分が女装してこれからコスプレ大会まである。

何にコスプレするかは考えたけど恥ずかしくなってくる。




どうしたら良いんだ?

教えてください、よろしくお願いします……。(なお貰った名刺は忘れている模様)


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読んでいただきありがとうございます。


面白ければ★★★、面白くなければ★。


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