〜14〜この世界の裏表、虚無の星々、瞬く新星。
ある撮影の時の話。
ここは夜遅くで誰もいない道路。
暗い橋の下、馬車も通っていない。
その道端には誰かの死体があった。
「キャァァ!!! 死体!!」
「琉偉、それは絵だ。落ち着け。」
それは巧妙に作られた絵柄だったのだ。
煜さんが丁寧に確認していくと絵柄から急にボコボコと泡が立つではないか。
瞬時にバックステップで離れる煜さん。
後ろにヒロインを隠れさせる。
泡から出てきたのはあの死体なのだ、何が起きたのか理解ができないだろう。
肌は黒く焦げており、頭や服には血痕がいたるところにある。
棍棒に釘が刺さった鈍器を持っている。
どうすれば……!
「はい! カット〜! お疲れ様ですー!」
「「お疲れ様でした」」
今回の撮影も上手くいった。
3回でOKカットになるのは熟練しているのがわかる。
「煜、私の叫び声大丈夫だった? 緊張していて」
「凄く良かったよ、琉偉。俺までビックリしそうだったよ」
「そう……? ありがとう」
やはり主人公達はイチャイチャしている。
撮影ではしっかりしているのに。
そして絵はただの幻影で動かしていて泡になって消えていった。
水の幻影魔法で作られているので泡が出るのだ。
今回は撮影でこんな夜遅くまでいるがいつもなら二人はこんなではない。
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「オラオラァ! お前の弱点痛いでしょ? どうなの、ボスさんw」
「私は後ろから属性弾撃ちますね! 今回のボスは100回、周回しないとなんて真面目に考えて可笑しな話ですね♪」
そう、生粋のゲーマーである。
家でボイスチャットを繋げていつもやっているのだ。
休むことはほぼない。
そんな主人公達の弱点、それは単純に自分だけでは生活できないグータラなのだ。
そのために玄之が付いている。
全てを補える玄之は逸材のようなもので直ぐに決定された、というよりかはみんなお世話はやりたくなかったが、玄之が年が同じで少しばかりの面識がある。
ということで選ばれたのだ。
だが攻略キャラ達よりも強かったのだ。
だから練習も一緒にしたし、勉強も教えてもらった。
最初から強い煜さんではなかったのだ。
玄之は何故最初は強かったかというと最初は強いけど最後はクソ使えなくなってしまうキャラの一人だったのだ。
スキルもいっぱい持っている、だが生産系またはサポーター系のスキルのみ。剣士や、武闘家などは黒子という職業と被れないので取れないのだ。
まずまずステータスが足りなくて使えないというものもある。
そこまで強くない、だけど人が良すぎるのだ。
やって欲しいことは忠実にこなしてしまうし、料理も美味しい。
手放すことができなくなっているのが現実である。
「よっしゃ! 撃破ァ!!
「ナイス♪
最近、玄之は活躍できるようになってきた。
表舞台に出て来れるようになった。
これからも玄之と一緒にいたい。
出来れば、あの他の人とは違う強さを知りたい。
そう願うばかりだ。
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どこかにある部屋の中。
ストーリーでは訪れない、黒子協会の本部。
ここは黒子という職業を管理しまとめる。
「そういえば玄之くんって君の弟だよね? クロ?」
「そうだけど? なに? 惚れたん?」
「違うわ」
この黒子という職業はこの世界から逸脱した存在。
やろうと思えばどんな職業よりも強くなることのできる大器晩成型。充分最初は強い。
しかし、そこから突き放されるように成長しなくなる。
そしてある一定の時間を超えると急に強くなるのだ。
ある一定というのが18歳になった時。
誰もが同じ時期だ。
18歳以上になると人智を超えた力を手にし、裏で暗躍する【設定者】という職業に変わる。
これは世界自体を変えうる能力を有し神に一番近しいものへとなる。
「玄之くんをそんなに強くして何をさせる気なの?」
「それが、教えられないんだよ〜『黒子師匠』がそうしろって言ってるんだよ」
黒子師匠。この黒子という職を全てまとめる人物。
黒子という職を最初に貰った人物。
そんな人から司令されているとなるとどれだけのことなのだろう。
「しかも情報統制級の処理がかかってるし、俺らがどうこうできる問題じゃない」
「情報統制級?! そんことが?!」
この玄之という人物はこれからのキーマンになっていくことだろう。
そんなことを知らずに生きている玄之も可哀想だ。
遠くの世が明けようとしている空を見上げてコーヒーを飲むのであった。
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