〜13〜玄之は活躍し始める、注目を浴びる。


デート姿のクロエちゃんは飾り付け担当。

「クロエちゃん、何をすれば良い?」

「んー、今から壁紙を作るんだけど、この教室がどのくらいのサイズなのか測って来てくれますか?」

白いワンピースは目を引くような可愛さが溢れている。


「「「アイアイサー!!」」」

男子達は鼻を伸ばしながら測りに行く。

男子とは単純なのだろう。

そして教室内を隈なく測る男子達。


脚立などに乗って測っているが何かを話しているようだ。

「クロエちゃん可愛いな、マジで惚れそう」

「それな、可愛いから玄之だってこと忘れそうだわ」

ただのキモい恋バナだった。

男子に恋されても困るだけなんだけど。


「男子! 話してないでやって! クロエちゃんに嫌われるよ?」

「「「アイアイサー」」」

そんなことを他の女子に言われた瞬間、ビシッと測るようになった。単純過ぎじゃない? 心配になつてくる。


そして大体が測り終わるとクロエちゃんはスキルを発動させる。

するとロール紙がどこからともなく落ちてくる。これが飾り作成 レベルⅦ】の実力。本当なら紙や染料など様々なものを使って作るもの。

それの最大レベルなら無から有を作ったってなんら不思議ではない。

そしていた男子達の頭に落ちたが放っておこう。


中を見ると薄いピンク色と白色の組み合わせの壁紙が印刷されていた。下の方には木目があり落ち着いた印象がある。

そして教室全体に自動的にフィットするシステムまで付いている。

設定が必要だが貼ることがないし、オウトツを気にすることがない。


試しに貼ってみると綺麗なメイド喫茶の壁になっている。

完璧。フンスと、少し胸を張る。

可愛いって言われているけどまぁこんなのも良いんじゃないかな。




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場所は教室のベランダに移る。

ここではヤンチャな見た目のクロエちゃんがテーブルを作る。

これもまた無から有を生み出して作るのだがこのスキルもまた一風変わっている。


魔力を込めると手のひらサイズの箱が数個ほど出来る。

なんだ出来てないじゃんと思ってる人たちもいた。



だが、教室の中で試しに箱を開けると机が出て来たのだ。

「うそ!? 机が出て来た! どんな物理法則してるの?」

手のひらサイズの箱から大きな机が出て来たことにビックリしている女子たち。

男子も目を丸くしている。


見た目は丸い机で、メルヘンな雰囲気を出していた。

脚には滑り止めを付けていて少しくらいの揺れなら揺れない仕様だ。

「完成だぁ!!ほら、運んで! 」


「「「ア、アイアイサー」」」

男子達は力仕事をしてもらう。

でもこの他はまだ使わないので当日まで預かってもらう。



今度は椅子を作る、さっきより多い箱が出てくるが開けてみると椅子が本当に出て来た。

自分でも思うがスキルは物理法則的に逸脱しているような気もしなくないが、まぁいいだろう。


「ガンバるぞ! みんなも手伝ってね♪」

この子可愛い、誰もが思った。




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パジャマ姿のクロエちゃんは着替えて、学園の購買へと足を運ぶ。

今回はコーヒーと紅茶、クッキーなどいいかもしれない。

カップケーキや、チーズケーキも良い。

そんなことを考えながらルンルンで購買に着く。


コーヒーや紅茶はジュースと一緒に買うから今は大丈夫らしい、そう本体からの念話があった。

ってなると小麦粉とか卵を買うといい。


「卵とか運ぶの手伝ってくれますか?」

「「「アイアイサー!」」」


「ふふっ、ありがとう♪」

今の一撃で男子は全滅寸前。

これは男子だ、と言い聞かせて落ち着かせる女子までいる。

こんなクロエちゃんもいい、いやでもあっちのクロエちゃんも……と悩んだりしている人まで出て来た。


なんだろう、見てるのが意外にも楽しい。




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メイド服クロエちゃんは調理室へと来ている。

数人の男女に味見をしてもらうために審査員もいる。


さっき貰ったものでクッキーなどを作る。

本当だったら時間がなく、作れないのだがコックのスキル【料理人 レベルⅦ】で最高の味を素材さえあれば作れるのだ。

無からも作れるが味が少し落ちるので、今回は素材を用意している。


「【料理人 レベルⅦ】発動♪」

そう言うと小麦粉が空を舞い、卵は割れて中に入る。

空で生地を練り上げ、ガスコンロの火が空を飛んで焼き上げる。

そしてどこからかチーンと音が鳴るとお皿にクッキーが並んでいた。


「プレーン味を作ってみたので味見してください♪」


「わかった、クロエちゃん♪」

そう言い琉偉さんはクッキーを一つ食べる。

他の男子達や女子も食べると目をキラキラと輝かせていた。


無言で食べ終わったと思ったら次々と次を食べる琉偉さん。

他の人達も黙々と食べ、直ぐにクッキーは無くなってしまった。


ちゃっかり鑑定士のスキル【鑑定 レベルⅤ】で確認すると【小回復】【腹一杯】【力上昇】が付与されていた。

【小回復】は少し回復する、【腹一杯】は一個食べればお腹が満ちるらしい。

お腹が空いている時に食べれば一枚で良いというもの。

【力上昇】はそのままの意味で力が一時的とはいえ上昇するという。


兵士などに良い食料となるだろう。

ダンジョンに行くときにもその強さを発揮してくれること間違いなし。

これで、作るのは決まった。




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さて、念話で確認したけどこれでみんな一通りできたみたいだ。

少し緊張したけど複製体も楽しめたようで何より。

今週の土曜日に学園祭なのでそれまで準備をみんなでしよう。


だけど僕がここまで活躍できるとは。

去年も活躍できてたら友達もいたのかな……?


今まで【コスプレを作れるようになるスキル レベルⅦ】を教えていたけどみんなコツを掴むのが早い。

さすが名門校なだけある。


学園祭のイベント、コスプレ大会を勧められたがスキル有りなのかわからない。

先生は大丈夫と言っていたけどやるかやらないかはまた別だ。




え? 琉偉さんがルンルンで応募していた?

僕の名前で? ウソでしょ、せめて言って欲しかった。

やっぱりヒロインの面倒を見るのは大変だなぁ。


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読んでいただきありがとうございます。


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