〜8〜犯罪が犯せそうなスキルを持つ玄之。
今日は学校での大きなイベント、【学園祭】に向けての準備をする。
お店を出すための看板を作ったり、何を出すか考えたりそんな二週間を過ごすこととなる。
色々とモブが活躍することができる場合があるイベント。
看板を作るのが早いとかカッコ良く作れるとか。裁縫ができて、衣装が作れるとか。
そういうことが出来ればもっと良い。
そして、一時的にモブが市民権を獲得してなるガヤや、陽キャに潰されていく殺戮の祭りでもある。
あのガヤですらイチャイチャできるのを黙ってみていないといけない辛さ。
陽キャにはわからないだろう。
そう考えながら窓の外を見つめる。
役員はさっさと投票を済ませ結果をだす。
「はい、では出し物はメイド喫茶に決まりました。ガンバっていきましょう!」
「「「「はーい」」」」
良かった……ちゃんと機能していて。
本当はみんながちゃんと投票して、メイド服を着ているヒロインを見れる重大イベントになるようだ。
夜には主人公とイチャコラして、時にはあんなことやこんなことまで……。
なんていう妄想をするやつまで出てくるのだろう。
まぁ、メイド服のイベントはもう黒子会議で確定していてちゃっかり投票をイジってあるようだが。
どちらにせよ乙ゲーの専用イベントには逆らえないってことらしいです、ごめんなさい僕がやりました。
僕しかやれる人材がいないのでイジっておきました。
はい。
何を書いても半数以上がメイド喫茶って書き直されてます。
そんなことができてしまう装置でやったから、悪気はないんだよ?
上司が僕しかいないからよろしく〜って言ってすぐ行っちゃったから。
先生も一応一緒に手伝ってもらった。
ちゃんと訳も話してからこの箱で投票してくださいってお願いしたらOKが出たのだ。
本当のことを言ってみるのもいいのかもしれない。
そしてモブを極めた玄之は活躍できることがある。
それは、メイドや、執事の衣装作りだ。
意外にも玄之は服を作成するスキルを持っていたのだ。
なんか普通に生活していたら役に立たないようなスキルが多すぎる。
体育館のバスケットゴールをすぐに出せるようにするスキルや、相手からのダメージを過大に見せながら受ける受け技。
覚えた味を作成できるようになるスキル、靴紐を綺麗に結べるようになるスキルなど。
まだまだいっぱいあるのだがほぼ全部役に立ってない。
その中で【コスプレを作れるようになるスキル レベルⅦ】というものがあり、これは何もないところからコスプレが作れるようになるのだ。
見た目なども知ってさえすればどんなコスプレでも再現できるようになる。
たとえそれが、キャラクターや知り合いでも。
前に実験で煜さんになってみたことがあるのだが、体型から声から見た目から全てが煜さんを再現していたのだ。
怖かったからすぐに解除したけど。
「『先生、僕が服を作ります』と心の中で玄之くんが言ってましたー、今ここでも作れるみたいです♪」
おぉいッ! 何故、琉偉さんは言ってしまうのか。
「じゃあ作ってみてくれる?」
先生までノリノリにやらないで。
そこは止めるところじゃないの? ねぇ?
まぁ作らないと色々言われるかもだし、これで下手なもの作ってしまったら笑われるし。
緊張、する。
「ふぅ……【コスプレを作れるようになるスキル レベルⅦ】発動……!」
そう言い玄之の手のひらから風が巻き起こる。
その風は球体となり、手のひらで浮いていたのだ。
風がだんだんと止むとダンボール箱が出て来る。
「え? ダンボール箱ですか?」
そうだ。
このダンボールを使うのだ。
「見ててください、すぐにわかるはずです」
玄之は頭からスポッとダンボールを被る。
するとダンボールは眩い光を放ち次の瞬間あら不思議。
可愛い黒髪ロングのロリメイドが現れるではないですか。
眼はパッチリと綺麗に整っており、頬は少しピンク味を帯びており、玄之が可愛い女の子になったらこんなんだろうという顔。意外にも玄之は大人可愛いショタのような顔なのだ。
頭には大きなフリフリのカチューシャ。
クラシカルなメイド服、ふわっとした水色のスカートに、純白のエプロン。
胸元には可愛いリボンを備えている。
胸がぺったんなのはこれから育つ証拠。
「「「「……可愛い、普通に可愛い(な)」」」」
「え、こっちを急に見ないでくださいよ、気持ち悪いまでいくんですけど」
マジでこっち見てるみんなが怖いんだけど。
なんなの? 犯罪者みたいな目をしている、今から何しようかみたいな。
「マジで可愛いー、私の子になって」
「私の子だよ、名前でも決める? 玄之だと可愛くないから」
「賛成ー! クロエちゃんとかどう?」
「私もいいと思う、これからは玄之くんじゃなくてクロエちゃんだね」
女子までキャッキャしてるし。
琉偉さんまでノリノリになってる。
「グハッ……女の子? いや、男の娘」
「アイツあんな可愛いんだな、おれの性癖が曲がりそう……ヤバい、襲おうかな」
あ、一人KOした。
あと襲わないで、僕にそんな趣味はない。
「先生、助けてだんだんみんな近づいてくる……ねぇ、先生?」
「私が保護して、家でご飯作ってもらってお風呂一緒に入って……」
だめだこりゃ
「そろそろ解除しますね」
そういい、解除される。
正真正銘いつもの玄之に戻った。
「ちぇ、もっと見たかったのに。まぁ玄之くんみたいになれるってことでしょ?」
「まぁできますね、見た目が変えたいんだったらどうにでもなります。でも、なりたい自分が想像できてないとなれませんね」
「わかったなら席についてね、先生が後で責任をとって玄之くんと話しておくから」
ぞわぞわっとした。
先生ってそんな趣味してたの?
このクラスに攻略キャラの面々がいなくて良かった。
煜さんなら本当に襲いそうだから。
可愛い女の子には目がないから、煜さんは。
この見た目も煜さんたちがやってたゲームをモチーフにしたのだ。
でも玄之っぽさがないと戻れない気がして絶対どこかしらは寄せてる。
特に顔を自分に少しは寄せないと。
想像するためにスキル【歳を取ったりしたらこんな顔になる】ってやつで女の子になった時の自分をベースにした。
これで犯罪が出来てしまうことが凶悪。
一回使ったら一週間は持つ。
まぁこれから気をつけないとな。
誰かに捕まったりしたら嫌だし。
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