〜6〜玄之のステータス、主人公のステータス。


昼ご飯の準備ができたところでみんながピクニックシートに座る。

ここは木陰なので日が当たることはないし、それによって日焼けするのをなるべく防ぐ。


我ながらいい場所取りな気がする。

「「「いただきます」」」


挨拶をしっかりしてサンドウィッチを食べようと手を出す。


食パンはふわふわで意外とお高めのものを使っていて、中の卵とマヨネーズ、ハムが合わさることにより美味しさの饗宴を奏でている。


まさにエデン……的な感じの食レポをしてみたいけど、言い出すのはツラいからやめておこう。


そして次に小分けにしたサラダを食べる。

サクサククリスピーなクルトンにトマトの甘酸っぱい酸味。

シャキッとしたレタスと、みずみずしいキュウリ。


美味しさを超えた美味しさだ。(?)



「これやっぱり美味しいね! 護くん」

「そうだね、琉偉お姉ちゃん。……凄く琉偉お姉ちゃんの黒いヤツとは大違い」


「そんなこと言わないでよー」

まぁみんな美味しいって言ってくれてるしどちらでもいいのだ。


そして隣の話がてぇてぇッ!! 凄く可愛いから僕はここに居てもいいのだろうか??


まぁ僕が受けた【護くんの面倒を見る】っていう任務が完了したし、そろそろ煜さんは帰って来るみたいだし。

本をもらってさっさと帰りますか。


「おーただいま! 何食べてるん?」

そんなことを考えている時に来る。

さすがメイン攻略キャラ。タイミングが良すぎる。


「いまサンドウィッチ食べているんです、残っているので食べますか?」

「えー! いいの? どれが何味とかある?」


「今残っているのはバターチキンカレー味とかですね」

僕の作ったのをパクパクと食べる煜さん。とても美味そうに食べるのはとても見ていて気分が良かった。




======


そして帰る前。

「お兄ちゃん帰るの?」

そう言い玄之を引き留める護くん。

うわー、キュルンキュルンの目が可愛いすぎて直視できない。

でもゴメンねなんて言えない。


あたふたしていると後ろから煜さんが来た。


「護、そろそろ帰らないといけないだろ? 貴族区は5時以降は出入りが庶民はできないんだから。商人ですらダメなんだぞ」

ナイスです! 煜さん!

「…………わかった、また遊んでね……?」


「はい、承知しました。また今度会いましょう」

そう言い煜さんの家を出る。


貴族区は綺麗な街並みで全てが高級なものばかり。

宝石店や、高級レストラン、ドレスショップなど貴族しか行けないようなVIP待遇。


僕は普通の一般市民だから行ったことはないけど一度は見てみたいな。

そんなことを考えながら貴族区を出るのであった。




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時間は過ぎ夜のベランダで風に吹かれる二人の姿。

少し遠くを見つめて悩んでいる様だった。


「凄く護くんに懐いてたよ、やっぱり黒子とかの効果なのかな……?」

「まず、玄之自身に魅力を感じるんじゃないかな。……俺もその理由でここまで玄之と一緒にいたんだから」

そうなのだ、今日この様に護の面倒を見たのには理由があった。

玄之はこれまで不自然なほどスピードが早かったり見つけるのが困難な事例が多数あった。


移動速度や身を隠すことに長けているのかわからないが、レベルが高いはずの煜ですら感知魔法を使わないと追跡は困難だった。


色々な方法で試してはきたが未だに玄之の底が見えずにいる。

そしてレベルは上げるためには少しずつ経験値を稼ぐ必要がある。


剣士だったら剣を交えることや、鍛錬をすること。

ダンジョンに行くことが挙げられるだろう。


黒子という職業は謎が多いのだ。

何をしても経験値はもらえ、特に倍率が高いのが誰かに仕えること。

また手伝いをし続ける必要がある。

そんな事は簡単そうに見えるが意外に難しく、手伝いも多種多様なものをこなしていくことが必須になってくる。


それをやったとして、直ぐにレベルが上がるわけでもない。

それにだからステータスが上がるなど無理に等しい。

主人公でも追いつくのが困難なステータスになるには鍛錬をしても出来るわけではない。


そう考えていくと玄之は何者なのか。

自分達には害はないが、それは本心なのか。


考えれば考えるだけ謎が深まるばかりなのだ。


ちなみに玄之自身はそこまで気にしてはおらず、ただ主人公より少し速い程度の能力で、隠れるのも探知魔法を使えば見破られる程度の能力。

結局は少し強いだけのモブでしかない。

しかしそれを過大評価している主人公達、なんか玄之がかわいそうに思えて来る。



「そう……そうだね、黒子くんってどれだけの力があるんだろう」




そう考えていくうちに夜が更けていくのだった。


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読んでいただきありがとうございます。


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