〜4〜護くんは煜さんに似てる。


「……さて、本題に入らせてもらうが」

ご飯を食べ終え、煜さん(主人公モード)が話しを切り出す。

今回の話がなにか聞いてないから僕も知らないことだ。


「俺、煜の……弟の面倒を見て欲しんだ」


「…………え?」

あ、ついつい口が滑った。こんなこと言ったらぶちのめされるから。

そんな唐突に弟のこと言われたら皆んな目を丸くしてるよ。


「あのね? お母さんとかいるだろって思うじゃん家庭教師の授業とかあるし……でもね? その日は休日。しかし母は公務でいない。まず、アイツの体力は有り余っている。だから俺には無理なんだよ」

早口やん、そんな言われても困るんだけど。

僕は暇だけど体力が煜さん以上なら僕なんて無理よりのムリ確定だよ?


そう思った瞬間こちらを皆が見る。うん。

こっちを見ないで。お世話をしてるのは生活費の為だし休みくらい休みたいし。

何? どういうこと言ったらこの状況を打開できる?


みんなして僕を見ないで。

「だって他の友達とかいるでしょうに、どうなんですか?」

「だってアイツは極度の人見知りだし、直ぐどこかいくし……。俺だってなにを考えてるのか分からないし」


そういわれてもなぁ……。

煜さんに言われても無理なものは無理だし。


「なら私も行きます! それなら心も読めますし、運動も多少は出来ます。それでいいですか? 玄之くん?」

「え、あ。……は、はい……」

もう押し切られてしまった、ムリなのはわかりきっているけど一か八かでやるしかない。

だって、この琉偉さんの急接近、匂いなんかバラみたいないい匂いだし……。

こんな目の前に居るのに断ったらなにが起こるのか知り得る余地もない。




======


休みの日になりました。

僕は無事買収されました。はい。

粘ってあとで行かないって言えたには言えたんだけど490ゴールドもする【黒子師匠の黒子完全ガイド2】で釣られました。


で、煜さんの家の前まで来ております。貴族の屋敷に来たことはあるけどここまでデカい場所は初めてと言っていいほど大きかった。


凄い豪邸で、部屋はいくつあるのかわからないくらい多い。

庭園とかはめっちゃデカいし、ここ貴族区だから入るのに申請必要だったし。

みんな攻略キャラは貴族で、主人公は普通の一般人だったけど攻略キャラに拾われてるし。


まだ琉偉は来ていてないようだけどどうなんだろうか。

お弁当も一応四人分。水分とか塩飴とかも持った。


OKだからチャイムを鳴らさないといけないんだけど鳴らしてもいいものか?


触ったらなんか言われない?

でも押さないと意味ないし……。


そんな時にガチャリとドアが開く。

目の前を見ても誰もいないがどこにいるんだ?

「どうしたの? お兄ちゃん? ここ僕の家だよ?」

よく下を見るとちっちゃい男の子が出てきた。マジで目が丸になりかけたんだけど。


なんか煜さんに似てるし、小さい頃の煜さんって感じ?

意外にも主人公の煜さんとは幼馴染というか、昔からのお世話相手というか。


そんな時に奥から見知った声が聞こえた。

「あー、玄之くんじゃん! 遅い〜♪」

声の主は琉偉さんだった。

えーっと? 何故琉偉さんがこちらのお宅にもう入っているのでしょうか?


「えー? だって外で待つと日に焼けるし、黒く焼けたヒロインなんてイヤでしょ? まずまずここに住ませて貰ってるし……」

なんか噂で聞いたことはあったけど本当に煜さんの家に住んでいたんだな。


「……というか、シナリオ以外でその能力を使わないでと何度言えばいいのですか」

「……お兄ちゃん早く入らないの?」


正論ですなぁ、早く入らないと無礼になる……かもしれない。

その辺の礼儀作法は一通りは学んだけど特に載ってはなかった。


まぁ入りますか。

そう思い中へと足を踏み入れる。



上を観ればめっちゃ豪華なシャンデリア、目の前を観れば大きな絵画、横を観れば高いツボ。高いものが目に入る。

シャンデリアの火は蝋燭のようにも見えるが、魔力で作る魔道具特有の揺らぎを見せていた。


魔道具は生活に馴染んでいる魔力で動く機器のこと。

まさにお弁当を作っていたコンロや、携帯。ゲーム機などの様々なものがある。

全部黒子師匠が広めたんだからすごいよな……。


目に入る物一つ一つ解説したくなってしまう。

こういう新しい物を観るのは楽しい……ってなに?

琉偉さんが袖を引っ張ってきた。


「ふふっ、そんな頭の中で考えてないで早く行きましょうね?」

「お兄ちゃんって、なんか面白いね」

普通に傷つく。

でも、ヒロインスマイル。略して【ヒロスマ】でプラマイゼロ。

あんな笑顔はシナリオか煜達の目の前でしか見せない。

見るだけでご利益がある、ありがたや……。


「お兄ちゃん今日何するの?」

「えぇ、考えていなかった。というか君の名前を聞きそびれてた……僕は黒子の玄之です。よろしくお願いします」

「僕は桐神 護きりがみ まもるです……11歳です」


「私は早乙女「知っていますよ琉偉さん」ぶーぶー! そんな言わなくってもいいじゃん!」

琉偉さんも意気込んで名乗ろうとしたが知っているから意味がない。

次からはもうちょっと言わないと。


「……そういう意味じゃなくて…………」

「?」

琉偉さんはなにか言った?


「まぁ今日はバトミントンでもしてみますか? 護くん?」

「…………でも、僕やったことない」


「僕はやったことありますけど、琉偉さんの方ができるでしょ?」

そうなのだ。

体力は無いし、運動出来ないし、バトミントンだってたまたま痩せようとしてやったけど長続きしなかった。

「え? 私できないけど?」


琉偉さんは 当然のように出来ないこと言われてもね。

俺が教えるの? それしか無い気もするけど。


「まず煜さんの家に何故かあったネットを張って」

そう言いネットを張る。

奥側を張っている護くんは小さくてネットを付けるのには身長が足りないようだった。

そこをすかさず琉偉さんがサポート。したのだが少し足りないのか背伸びしている。


やっぱり凄く優しいな、後可愛いし。こう見えて主人公だから。




やはり主人公は違うなぁ。

優しいし、可愛いし、綺麗だし……三拍子が揃っているんだな。うん。

少し距離が近い時あるけど……。(苦笑)


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読んでいただきありがとうございます。


面白ければ★★★、面白くなければ★。


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