第11話 本屋
僕は昔から本屋が好きです。
最近、紙の本が売れないせいか、近くにあった本屋がバタバタと潰れていく姿を見ると……。
とても悲しい気持ちになります。
このまま本屋さんが消えていくと、一体どうなるのでしょうか。
考えると怖いです。
ちょっと話が逸れましたが、まだ僕の近所にも本屋さんが一軒あります。
買う予定がなくても、新刊コーナーや普段見ない棚を覗くのが、とても楽しいです。
ある日、ライトノベルのコーナーを眺めている時。
近くに立っていた男子高校生たちが、何やら大きな声で話をしていました。
「あ~ これって、何巻まで買ってたっけ?」
「それ? 俺が持ってるから、貸してやるよ」
「え、マジ? サンクス」
「いいって。俺さ、小遣いとかバイト代、全部ラノベと漫画に使ってるんだよね。多分、今月2万ぐらい使ったんじゃ、ないかな……」
それを隣りで聞いていた僕は、思わず身体をビクっと震わせてしまう。
(2万円だって? 一冊が700円だとしても、一ヶ月に何十冊買う気なんだ? この子……)
「じゃあ、そろそろ行く?」
「うん。今日はこれとこれ、あれとそれ……ぐらいでいっか!」
と本日、お買い上げになる商品を確認する男子高校生くん。
片手で持っているけど、10冊はあるようです。
それを見た僕は、思った。
(お小遣いやバイト代を全て、ラノベや漫画に全て使うとは)
(なんて、健気な少年なんだ!?)
さて、ここでまた話が脱線しますが……。
ライトノベルや小説などの文字数は、一冊につき10万文字と聞きます。
別に宣伝したいわけではないのですが、僕が以前書いたラブコメ作品は、110万文字で完結しました。
つまり、ライトノベルにして、11冊分になるということです。
それを思い出した僕は、男子高校生に話しかけます。
「あ、あの……ちょっといいですか?」
「え? なんでしょう……」
僕はジーパンのポケットから、スマホを取り出し、とある小説投稿サイトを開くと。
自身が書いた、男の娘ラブコメ作品を彼に見せつけます。
「そんなにお金を使わなくても、無料で小説が読めますよ?」
「え? どういう意味ですか……?」
「僕の書いた作品ですが、今ならこのサイトにて無料で読めます!」
「いや、性癖が全然、違うんでいらないです」
「……」
その結果、僕は通報された。
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