くたびれたブックカバーへの愛着

読書をするうえで、個人的にはブックカバーが必須アイテムだ。それは在宅時外出時問わず、常に本を持ち歩く私にとって、皮脂や埃、大気の汚れ、ありとあらゆる汚染から大切な本を守るために、必要不可決な装備品だから。


普段は表面に『mein lieblings buch』(ドイツ語で私のお気に入りの本という意味)と書かれたブックカバーを使っている。それが赤色2枚、白1枚。計3枚所持している。手触りがよく、汚れても気兼ねなく手入れをして綺麗にできるので重宝している。


それともう一つ。だいぶ厚みのある本を買ったことで、前述のブックカバーが対応しきれず、急遽コラージュペーパーと名のついた半透明の柄紙を購入し、即席ブックカバーを作成してみた。


既に相性の良いブックカバーに慣れてしまっているため、カサカサする手触り、滑りやすさ、紙特有の音が気になる私は少々の不便や不快感を予測していた。だがこれが意外にいいもので、使い込めば使い込むほど手に馴染んでくるし、紙が立てる音も心地好いものに感ぜられるようになってくる。本のかたちやサイズに合わせて、何度も何度も折られたり、かと思えば平らに折り皺を伸ばされたり。おかげでどこか年季の入ったふうの革製品のような風合いを呈するようになってきた。


いつかオーダーメイドで本革のブックカバーを作ってみたいという気持ちがあるが、これが所謂「使い込めば使い込むほど良い味が出てくる」ということなのだろうか。本革のバッグや財布も一応所持しているが、数年前の購入にも関わらず綺麗な状態のままだ(大切に扱っているからかもしれないが)それらはまだまだ本領発揮、という段階ではないのだろうか。ブックカバーならしょっちゅう手に触れるものだから、使い込まれたという風合いが滲み出てくるのも比較的早いのではないか──という具合に、色々と飛躍して考えてしまう。いつもの癖。


紙製のブックカバーも案外悪くないもの。使い勝手はやはり普段使いのものに劣るが、柄も豊富で気軽につけ替えできるのも紙製の良さでもある。今回のように少し手を加えれば、愛着もさらに湧く。こういうことも楽しみながら、これからもたくさん読書をしていきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

琴線に触れる日常 鷹川安世(たかがわ あんぜ) @anze_takagawa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ