手品

 テンテン実況スレPart2


1 名無しさん

おつ


2 名無しさん

1乙


3 名無しさん

こいつチーターだろ


4 名無しさん

チーターチーターうるさいからわざわざカメラ用意したのにまだ言われててワロタ


5 名無しさん

>>3

あんまりそういうこと言わないほうがいいぞ


6 名無しさん

実際チーターじゃなくてもチート使ってるのと変わらない画面の動きしてるんだが

マウス感度いくつだよこれ


7 名無しさん

>>6

いつかの配信で振り向き1cm未満とか言ってた


8 名無しさん

>>7

どうやって操作してんだよ・・・


9 名無しさん

あー声すきすき


10 名無しさん

SSFなんてしなくていいから一生喋っててくれ



11 名無しさん

まぁいくら手元映してもチート使ってないって確定的な証拠にはならんな


12 名無しさん

動きが洗練されすぎてて機械が操作してるようにしか見えないのがなー


13 名無しさん

カメラとかどうでも良いからもっと品質の良いマイク買え


14 名無しさん

最近海外で話題になってるASMRってやつをやってほしい


15 名無しさん

いやマジで化け物エイムすぎる


16 名無しさん

このランク帯でテンテンと真正面から撃ち合って勝てるやついないわ

最上位帯でも撃ち合い勝率8割強あるんじゃないか?


17 名無しさん

>>16

砂でワンショ決めるかグレ使えば勝てるから・・・


18 名無しさん

>>17

こいつのせいで最上位帯はワンパン出来る武器しか使われないとか


19 名無しさん

実際最上位帯でのSMGとかARみたいな胴体狙いの武器の採用率は一気に落ちたよ

公式戦だとまだまだ現役だけど


20 名無しさん

>>14

同士か?

テンテンの声でASMRなんてやられたら昇天する気がする


21 名無しさん

あああマジでもっと良いマイク使ってくれ

なんなら俺が買って送ってやるから


22 名無しさん

海外だと試験的に配信へのチップ(投げ銭)機能を導入してるらしいから上手く行けば日本でも導入されるかもな


23 名無しさん

>>22

待ちきれないよ~


24 名無しさん

テンテンって高校生か大学生くらいなのかな?

もっと立ち回りとかグレ位置有利位置を覚えるように勉強すればプロでも絶対やっていけるのになぁ


25 名無しさん

どっちかって言うと年齢的な問題でプロになれないだけでしょ

本当にチート無しでこのエイム力があるなら世界トップクラスの実力だよ


26 名無しさん

>>25

世界トップクラスは流石に無い

プロならこれくらいのエイム力は皆持ってるし、立ち回りとか戦略みたいな部分で劣ってるコイツが活躍する場所は無いよ


27 名無しさん

>>26

その最高ランク帯をエイムだけで破壊して環境を変えたのがこいつです


28 名無しさん

このエイム力でチートしてないってマジ?

ハイスピードカメラみたいな動体視力なのか未来予知でもしてないと無理だろこれは


29 名無しさん

チート使ってても良いよ

ゲーム配信なんてさっさと辞めて声優にでもなってほしい


30 名無しさん

マッチングが遅くてカメラで遊んじゃうのワロタ


31 名無しさん

コイン回すのうめえ


32 名無しさん

これ手品?

どうやってコインを消したり出したりしてんの?


33 名無しさん

わからん


34 名無しさん

指使いが上手だからコインが見えないように隠せてるのかな?

握ったコインが消えた仕組みはよくわかんない


35 名無しさん

指使いが上手ってなんだか卑猥な言い方


36 名無しさん

コインが生き物みたいにうねうね動くのキモい


37 名無しさん

これがエイムのコツですか




「ふぅ」


 早朝。俺は朝食と弁当の準備を終え、息抜きとばかりに溜め息を一つ吐いた。


 別に料理は手間ではない。朝食には昨夜のカレーを流用し、弁当だって冷蔵庫に残っていた食材を使ってそれっぽく作るだけだからだ。料理のやり方を根気よく教えてくれた茜に感謝の気持ちしかない。


 溜め息の理由はそちらではなく、昨夜の配信に対するものだった。


 というのも昨夜の配信では、チート疑惑解消のためにWebカメラを用いて配信を行ってみたが、俺が想定していたほどの疑問解消効果は無かった。


 一切効果が無かったとは思わない。しかし実際に自分の目で見なければ納得出来ないというのはおかしなことではないだろう。


 むしろ配信では、マウス操作より、カメラ越しに披露した手品の方が話題に上がってしまった。


 手品といっても指先を使ってコインを回したり、魔法で消してみたり、出してみたりするだけのものだ。

 いつも気にせず手慰みにやっていた意図しない行為であったが、配信越しにそれを見ていた視聴者たちからは、手品だなんだと言って地味に好評だった。実際は種も仕掛けも存在しない魔法なのだが、常識的に考えて魔法を使っているとは夢にも思わないだろう。


 そういったこともあって、配信的には大成功といえるものではあったが、当初の目論見からは外れた結果を生んでしまった。


 配信中に流れてくるコメントの中には、『オフ会のようなものを開いて、実際のプレイを見てもらうのはどうか?』という内容があった。確かに面白い案ではあるが、色々な事情を踏まえると、それを実行する気は起きない。



 次の配信はどうしようかと物思いにけっていると、キィっという扉の開閉音が聞こえた。

 意識していなければ聞き逃してしまいそうなほどに静かな音だ。


 俺が音の方向に視線を向けると、小さく開かれた扉の隙間からひょっこりと茜の顔が出てきた。リビングの様子を窺っていた様子だったが、俺と目が合うと、少し引きつった笑顔を浮かべた。


「テンくん……お、おはよ!」


 そう言って挨拶をしてきた茜の頬は紅潮し、普段よりも少し声が上擦っている。


 最初は体調が悪いのかと思ったがそうではないようで、いつものように挨拶を返すと、茜は落ち着いた表情を浮かべ、少し早足でリビングに入ってきた。


 向かいの席に座った茜は朝食を食べ始めるのではなく、少し視線を右往左往させた後、言いにくそうな顔で俺に訊ねてきた。


「き、昨日ってその……配信してた?」

「配信? してたよ」

「……ヘッドホンとか付けて?」

「そりゃあね。このマンションの壁って防音ちゃんとしてるから音は通ってなかったと思うけど――」

「あ、ああっ! そうだった、そうだった! うん。うんうん。防音だったよね、配信の音はなーんにも聞こえてなかったよ!」


 表情が二転三転する茜を見て、朝から元気だなあと思った。


 彼女がした質問の意図を考えようと視線を虚空に移すと、茜はそれを遮るように話を再び振ってきた。


「――あ、朝ごはん作ってくれたんだね! 美味しそう! ほら、早く食べよう!」

「……? そうしようか」


 そう言っていつもと同じように朝食が始まった。


 食事中、昨日起きた配信の出来事をぽつぽつと茜に語り、あまり手元配信が上手くいかなかったことを伝える。



「……手品?」

「お前もそっちが気になるのか」


 やはり茜も、手元配信が上手くいかなかったことより、配信中に披露した手品の話題に興味を持ったようだった。


「手元を映して配信したくらいじゃ、テンくんのアレ・・が人力だって思う人はそんなにいないと思うよ」

「……」


 じゃあなんでWebカメラなんて買ってきたんだ。俺は彼女にそんな視線を向けるが、茜は特に気にした様子はなく、テーブルに置かれた自身のカップに手に取り、中の白湯を優雅に飲んだ。


「そんなことより、テンくんって手品なんかも出来るんだ?」

「手品――ま、いっか。ほらこんな感じ」


 小さく握り拳を作り、デコピンのように人差し指をピンと弾く動作をする。その瞬間に同じタイミングで魔法を発動させ、虚空から五百円硬貨を取り出して空中に打ち上げる。


「わぉ、すごい」


 それからいつものように指を使って硬貨をくるくると動かして見せる。茜は目を白黒させながらその光景を見て、一通り見終えたところで小さく拍手をした。


「テンくんって不思議。勉強はあんまり出来ないのに、それ以外は大抵何でもできちゃうんだもん」

「一言余計だぞ」

「ごめんごめん」


 茜は苦笑いを浮かべ、俺が手に持った硬貨に視線を向けた。


「配信もこういう多才な部分でやっていく方が良いかもね」

「……そうかな?」

「うーん。ゲーム一本でやっていくよりかはもっと人気出るかなぁって。ほら、その手品とか、声なんかも上手く使ったりして、色々やってればもっと人気出ると思うよ」


 一例だけど参考にしてみて。そう言って茜は、食後に残った二人分の食器を重ねて台所で持っていく。

 それをぼうっと眺め、そういう手もあるかと思考を巡らせる。


 ゲーム配信一本でやっていくのは厳しい……か。

 時代的にはゲーム配信の人気というのはそこまで強くはなく、どちらかと言えば、コメントとの雑談や、凸待ちのようなジャンルの方が圧倒的に人気でニーズが高い。


 配信なんてゲームをしてナンボと思っていたが、俺よりも頭の回る茜が言う通り、ゲーム以外に目を向けてみるのはアリなのだろう。


「……やってみるか、雑談?」

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