送り物

倉川敷

第1話

ここはエクスペリメント星。先日、宇宙人がこの星にきた。私と、まったく同じと言っていいほど、非常に形姿が似通っている。彼らの星を、地球という。私の星とは比べ物にならないほど、文明が発達しており、人口も多いようだ。彼らは優しく、これから不定期に物を送ってくれるらしい。

何が目的かはわからないが、地球から送ったものを使用する際に、地球人が設置した小さな球体の周りで使用する、という妙な条件付きではあるものの、そんなことは気にならなかった。

いつのまにか球体の近くに、とても小さく黒色の円盤状の物と、一枚の紙があった。おそらく、地球から送ってくれた物だろう。さっそく球体の前に移動し、黒い物を用意した。紙には用途が書かれていないのに少し違和感を覚えたが、使用方法を読む。どうやら、噛まずに食べる食物のようだ。黒い物を口に入れ、飲んだ。味はしない。が、力がみなぎってきた。試しに足に力を入れて、飛んでみると、いつもより数段、高いように感じた。自身のちからこぶは、いつもの数倍は大きかった。どうやら、地球はいいものを送ってくれたようだ。とても感謝の気持ちであふれている。


「自分がなりたいようになれる薬の実験は成功のようだ。まったく、悪い時代になったな。命への関心が高まり、生物を用いた実験ができなくなってしまった。実験をするのにも一苦労だ。昔に比べてよくなったことといえば、だれでも簡単に宇宙に行けるようになった、ということしかない。ひとまず、カメラか被験者が壊れるまで、実験させてもらう。さあ、次は少し危険性のある薬をおくろうか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

送り物 倉川敷 @airports

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ