15日目③

村を歩き回っていると剣のマークのお店があった。


「お邪魔しまーす...」


「いらっしゃい。お嬢ちゃん何をお探しで?」


「私でも振れそうな剣を探しているのですが」


「小さいお嬢ちゃんが?ガッハハハ!!なんの茶化しだ!」


武器屋のおじさんに比べたら私は小さい。でもおじさん絶対2メートル超えてるじゃん。私たぶん140センチはあるよ?受付のエリナさんより少し小さいくらいだもん...腹が立つなー...


「何だよそんなに見つめて...まじで武器買うのか?」


「はい。私これでも駆け出し冒険者なんですが」


「そうかそうか!でも、お嬢ちゃんが振ることができそうな剣あるかな?そこのショートソードならどうだ?待ってみな」


壁にかかっていたショートソードを持ち上げ振ってみる。本物の武器を初めて持った。


「お嬢ちゃん、珍しい振り方してるな?そんな流派見た事ないな」


この世界には刀は無いのだろうか?前世では剣道部に入っていたからな。染み込んだ動きが出てしまっていた。


「私の国では普通でしたねー」


「俺も知らない事がまだまだあるってこったな!んで、どうだ?その剣は?」


「もう少し軽いものはありますか?」


「あるが、高くなるぞ?」


「銀貨30枚以内であれば...」


「それならな...ちょっとまってな...」


---


「これなんてどうだ??」


裏から黒い剣を持ってきてくれた。

受け取ると、確かにさっきの剣より凄く軽い。


「綺麗な黒...しかも軽くていいですね!」


「そうだろ?この剣は貴重なネームドの魔物から作った武器何だ。」


「そんな貴重な武器買えませんよ!?」


「いや、それは見習いの俺の娘が作ったんだ。おーいミリア!ちょっとこーい」


少ししてから、おじさんには全く似ていない赤髪の女の子が出てきた。


「何?」


「このお前が作ったショートソードを、このお嬢ちゃんに売ろうかと思ってな」


「試作品なんて売るわけないじゃない」


「これ試作品なんですか?凄く見た目も綺麗な剣ですし、振った時の音も良くて私この剣がよかったのですが!」


「いや...その...そんな真っ直ぐな目で見ないで...恥ずかしい...あなたが良いなら...でも、その剣は癖が強くて、綺麗に真っ直ぐ切らないとすぐに欠けたり折れるの」


「ミリア、お嬢ちゃんと剣筋を見てくれ。お嬢ちゃんその剣でさっきの様に振ってくれないか?」


「はい!」


同じ様に振る。さっきの剣とは違い、ヒュっと小さな音なる。ブンっと物を振っているのではなく、まるで空気を切っているかの様だった。


「凄い...決めた、その剣をあげるわ。」


「え?」


「その代わり、私があなたの専属のスミスになるのが条件よ」


「いいの!?...ですか?」


「ええ、手入れもするから使ったら持ってくること。いい?」


「はい!お願いします!」


---


また来ることを約束し店を離れた。


「専属スミスかー...おじさんその言葉聞いた瞬間泣いてたな...」


巣の近くまで戻り、人の姿で戦いをしてみることにした。蟻達には手を出さない様に伝えた。


狼の小さな群れを見つけた。


剣を前に構える。


狼もこちらに気付き戦闘体制に入った。

何匹かは林に入り左右に回り込んでいる。


「人間の姿での初めての戦闘。どこまで動けるかな」


右の林から狼が飛びついてくる。

冷静に交わし切り払う。胴体が真っ二つになる。


「凄い!風斬より綺麗に切れたんじゃないかな??」


狼達は怯まず襲いかかってくる。


蟻の時とは違って、視野が狭い。後ろからの攻撃に対処が遅れてしまう。


「ふー...。さ!こい!!」


数分間戦闘が繰り広げられた。


無傷での完勝。


なんとか魔法を使わなくても勝つことができた。


「けど...つーかーれーたー...。今日はもう帰ろう...」


これからは毎日素振りをすることにしよう。

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