16日目

今日も今日とても村へ向かった。

寄り道せず真っ直ぐギルドへ。


「すみません。依頼何かないですか??」


「今回ハルミさんには、討伐依頼をお願いします。向かってもらう場所は、村の北東側の森です。ゴブリンの小規模の集団が村の付近に住み始めて、村の人達を襲い始めたそうです。お願いできますか?」


「わかりました!大丈夫ですよ」


「討伐依頼は初めてですよね?初めての方はシルバー冒険者さんにサポートを無償で頼むことができますよ?腕に自信がある方が多いので安心です!」


「私1人で大丈夫です」


「え?」


「1人で大丈夫です」


「え?」


「1人で」


「聞こえてない訳ではないです!何で1人で大丈夫何ですか!ビギナーは1人で行くと怪我しますし!最悪亡くなってしまいますよ?亡くなった後誰にも回収されなかったら死霊系の魔物になってしまいますよ?」


「そうなんですか??」


「そうなんです!死霊系の魔物になってしまうと、魂が縛ら地獄の様な苦痛を味わいながら彷徨うんですよ?絶対サポート頼みましょ??」


「いやー、1人で十分ですね...」


「えぇ...なら、この鈴お渡ししますので身の危険があった際には必ずならしてください。冒険者が救援に向かいますので...」


「気を遣ってくれてありがとうございます」


---


村の北東に向かった。


北東には、人型の生き物が多いと受付のえりなさんが説明してくれた。


ゴブリン派閥やリザードマン派閥、オーク派閥があり普段は均衡が保たれていて、こちらから攻撃しない限りは大人しいらしい。


村の北東近くにゴブリンが小さな集落を作り村に向けて突撃する準備をしているのを見つけた。


「あれを倒せば良いのか。」


村の東門から出た為、兵隊蟻達は着いてきていない。完全に1人で戦わないといけない。


岩陰からゴブリン達を観察する。


大体27体


弓を持っているのが5体


素手なのが14体


剣を持っているのが7体


ローブを着ているのが1体


一体ずつ倒していこう。

岩陰から、ゴブリンが1匹になる瞬間を待つ。


---


数十分ほど岩陰に隠れていると、3体のゴブリンが群れから離れた。


後ろからついて行く。


ゴブリン達は角兎などを倒している。食料でも集めているのだろうか?


「巣から離れたし、この辺りなら良いかな?」


背後から足音をたてずに近づいて...

反撃される前に、3体全ての首を落とす。


「ふぅ...あと24体」


とりあえず倒したゴブリンの持っていた武器を回収する。ギルドへ討伐報告する為にゴブリンの右耳も切り取る。


---


他のゴブリンはまだのんびりしている様だ。


いつになったら離れるんだろ...

いい加減待つのも疲れた...


「あ...」


いつからか剣だけで倒さないといけないと思っていたんだろう。魔法使えるじゃん。


「雷槍連続発射!!」


頭に当ててしまうと耳が回収できない。

上手く精密な魔法操作ができ、見えるゴブリンの腹部に全て命中させた。


全てのゴブリンが動かなくなった。


ゴブリンが建てた家の中から巨大なゴブリンが出てきた。


「子供達をよくもやってくれたな。この我が相手をしてやろう。」


あの大きいゴブリンが右手に持っているナタで切り付けられたら、たぶん一発で真っ二つだよね。


「はやっ!」


あの巨体で動きが物凄い俊敏。

ギリギリ交わせる。ナタの攻撃と体術の組み合わせが凄い。


自剣技と並列思考で放つ魔法の二つで対抗する。

魔法と遠距離攻撃の耐性が低い様だ。


「何故だ、我の雷魔法より強いというのか...ならばさらに出力を上げてやる...」


大きいゴブリンの体がバチバチと電気が走った瞬間、目にも止まらぬ速さで後ろに回り込まれた。


後ろに雷槍を出し、ナタの軌道をずらし跳躍で上に交わした。


追撃に合わせて、ナタを持っている右手を切り落とす。


「ぐぅあ...こんなガキに...」


ゴブリンが左手でナタを持ち直そうとした瞬間に、すかさず残っている左手も切り落とす。


「人間のくせによくも!」


両腕を切り落とされたのにもかかわらず、左腕に噛みついてきた。


「ーー!!!」


顎の強力な力で左腕が噛みちぎられた。


自動回復で出血を止まっている。


グロテスクな見た目だが、少しずつ腕が生えてはきている。


雷槍!風斬!


...


...


倒せた。


強かった。攻撃自体は強く無かったが、洗練された動き、技量が凄かった。


もっと強くならないと蟻たちを守れない。


とりあえず報告に行くかな


---



「戻りましたー」


「ハルミさん!ご無事で何よりです!怪我はしていませんか??」


「この通り、ピンピンしていますよ」


帰ってくる間に自動回復で腕は生え、傷は全て治った。


「依頼報告の戦利品は全部この袋に入っているので、確認お願いします」


「お預かりします。少々お待ちくださいね」


---


「ハルミさん!!!あれは何ですか!?ゴブリンジェネラルが混ざっていたんですが?!」


「ゴブリンジェネラルですか?あの大きい強いやつですかね?」


「ゴブリンジェネラルは討伐難易度S以上ですよ!?」


「かなり強かったですからね〜」


「何でそんなに軽いんですか!?下手したら死んでいたかも知らないんですよ??」


「生きていたからいいじゃないですか」


「それはそうですけど...ビギナーがSランクの魔物を討伐するのは相当問題なんですよ...」


「なんか、申し訳ないです」


その後も小言をたくさん言われた。


日も落ち暗くなり始めていたので、巣へ帰ることにした。


巣の解体室に今回倒したゴブリンと、ゴブリンジェネラルを魔法バッグから取り出し渡しておく。


ゴブリンジェネラルが持っていたナタはそのままバックに入れておく。きっといつか使い道があるだろう。


巣の4階に食堂が新しくできた。前もって働き蟻たちにお願いしといたのだ。


基本はここで皆んながご飯を食べてその場でゴミを片付ける。巣のあちこちにゴミを放置させない為の対策だ。


対策もバッチリで、前より巣が綺麗な感じがする。カビも生えていないし。


自室に戻り、今日も今日とても素振りをしてから休んだ。

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