15日目①

今日は早速村へ行く。


衣服が無いとそもそも行けないが、あの時の人間が着ていた服がきっと保管室に...


「あった!男物の服だから少しぶかぶかだけど、裸よりはぜんぜんましだね。下着が無いのが嫌だけどー...Tシャツと布を使ってワンピース風にアレンジしたら完成!」


巣を出て村へ向かおうとすると、やはり兵隊蟻も付いて行こうとしている。


こんなデカくてゴツイ蟻が一緒だと流石にマズイ。

交渉の末何かとか理由をつけて、村の近くで待機することで納得してくれた。


「わぁ...」


そこそこ大きい村のようだ。


頭の触覚は布をバンダナにする事で隠したけれど...隠せているだろうか?

門兵にバレなければ良いな...


会釈しながら門を通る。


よかった〜。多分不審がられず入れた!お金とか取られなくて良かった...


ぶらぶらと村を歩いていると、ミニ蟻の共有視野で見た村長が話しかけてきた。


「そこの御方。すまぬが竜騎士グラン様のお仲間でしょうか」


「はい?竜騎士様ですか?私とは縁もゆかりもありませんが、私はただの旅人ですよ」


「それは申し訳ない。服が竜騎士様と一緒の物を着ていたものでのぉ」


「この服は、とある方から譲り受けたものですので、紛らわしくてすいません」


「旅人という事ですが、ギルド登録証拝見しても?」


「ギルド?私登録してなかったです...」


「なんと!どうやって生計を立ててたのですかな!?」


「いやぁ、昔から森で野宿していたもので...1文無しです。」


「ふむふむ、無料ですので登録して行ってくだされ。これからの人生必要になります。案内しますぞ。」


---


「こんにちは。私は受付担当しています、エリナと申します。簡単に登録の説明をさせていただきますね。ギルド登録は簡単です。名前の登録、役職登録の2種類です。さっそくこちらの紙に記入をお願いします。」


「あのー、すみません...文字読めません...」


「大丈夫ですよ、ギルドでも読める人は3割ほどですから。私が記入のお手伝いしますので質問させて下さい。」


「よろしくお願いします!」


「お名前を教えてください」


名前はとりあえず...前世のままでも大丈夫だろうか?


「有馬 美晴です」


「もしかして、東の国出身ですか!?」


「えーっと...」


「すみません、深く詮索してしまって。無理に話さなくて大丈夫です。名前はアリマでしょうか?ミハルでしょうか?」


「名前がミハルの方です」


「それでは次の質問です。役職、戦闘スタイルはなんでしょうか?」


「素手...じゃだめですよね?」


「駄目ですね。特に何も決まってないようでしたら、戦士ということにしておきますね。もし、違う戦闘スタイルになる時は、カードに記載しますのでお知らせください。」


「分かりました。何から何まで、ありがとうございます」


薄い鉄でできたカードを手渡ししてくれた。


「それでは何か任務を受けていかれますか?? 」


「そうですね。私でも出来そうな依頼をお願いします」


「この依頼なんてどうですか?」


提案されたのは、薬草を10個採取するだけの依頼だった。これなら問題なく出来そうだ。


「この依頼にします!」


「承知しました。期限は1週間ですので、それではお気をつけください。よろしくお願いします。」


とりあえず先に兵隊蟻が待っている森へと戻ることにした。

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