嫌味と昼食

だいたいの生徒が採点を終え、坂東が各自答案を返すように指示を出した。俺が渡した答案には目もくれず、立花は俺に嫌味を言ってきた。

「全く,なんで対策せず満点をとれるの?あんたが数学が得意なのは知ってるけど、それでもおかしいよ。次はあえて2問くらい間違えてもらってもいいからね」

次も勝負する気なのか。まぁ、いつものことだがな。

「それはそうと、俺とあんまり長時間話してると怪しまれるぞ?話すならモールス信号にしてくれ。周りの視線が痛い」

立花は俺以外の生徒に対してはとても優しく接しているので、性別を問わず人気が高い。普段はモールス信号で会話しているからいいが、試験の後はいつもふつうに話しかけてくるから、周りのやつらに睨まれるんだよな…。


坂東が生徒の答案を集め終え、採点ミスがないかチェックしたあと,坂東はクラス全体の平均点を発表した。「平均点は71.6だ。今回は難しくつくったつもりだったが、存外平均点が高かった。よくやったな。」

ま、俺が平均をあげたおかげですかね。

立花は俺がなにを考えているか分かったのか、物凄い目つきで睨んできた。エスパーか、コノヤロー。


2限から4限を寝て過ごし、昼休みになって俺は目を覚ました。時刻は12:07。俺以外の生徒は既に仲のいい友達と集まって昼食を食べ始めていた。さて、俺も食べるか。

学食で食事を買ってから、俺はとなりのクラスにいる親友のところへ行った。俺はいつもは弁当だが、(俺は基本的に怠惰だが、料理は好きだから自作することが多い。)今日は遅刻の恐怖のせいで作る時間が無かったんだ。となりのクラスの教室のドアから親友の姿を探すと、そいつはすでに他のやつと食事を始めていた。いつも俺と食べているのに、薄情なやつめ…。

「楠木、俺も入れてくれ」

「ああ、遅かったな。やっぱ居眠りしてたのか?」

「まぁ、そんなところだ。そいつは?」

俺は楠木の隣にいる女子生徒を指さす。

「こいつは西園。まぁ、俺の友達だ。」

「そうか、俺は一条、こいつの親友だ。よろしくな。」

西園に向けて自己紹介をする。

「うん、よろしく〜蒼斗くんからいろいろ聞いてるよ、怠け者なんだってね、ああでも、私は別にいいと思うよ?成績はとれてるらしいし、?」

失言したとおもったのか、慌ててフォローされた。初対面のやつに怠け者と言われるのは、地味に傷つくな…。ちなみに、蒼斗というのは、楠木の下の名前だ。さっきは友達と言っていたが、少なくともただの友達ではないだろう。そんなことを考えつつ、俺は楠木の前の席のイスを持ってきて、2人の正面に座った。

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