第六話 四十九院末明とゲート
俵井陸士長が作り上げた鮮血のカーペットを、ぴちゃぴちゃと音をたてながら前進する。
「うえ、ぐろいっすね~」
そりゃそうじゃ。こんな光景、一般市民には到底見せられん。
『あ、末明二佐、チェーンガンの内燃機回しておいてねっ!』
っと、そうじゃったそうじゃった、結笹整備士の助言に、儂はチェーンガンのエンジンをかける。チェーンガンは発動機で稼働しておるから、これが無ければ給弾も排莢もできんからの。
「あ、二佐、【ゴブリンハウィッツァー】です」
『おーっと出ました、ゴブリンの中でも強力な火炎魔法を使う攻撃型魔術師、【ゴブリンハウィッツァー】!どう攻略するんでしょうか…!?』
「一曹、殺れ」
「アイマム」
銃声。その銃声は雷鳴の如く荒野に轟き、ビル街出会った場所に散らばるコンクリートの残骸たちを震わせ、一発の銃弾に纏わりついた電撃が、着弾したゴブリンハウィッツァーの身体を焼き、爆ぜさせる。
「……1」
ターン、ターン、と断続的な射撃音が旧市街を突き抜けて、奴等に死を届ける。一体、また一体と倒れていくこの状況に、彼らの士気は限界に達し、そして潰走した。耒田の使っておるのは、雷魔法じゃ。空気中に静電気を流し、それを火力にして敵に叩きつけておる。
「よし、片付いたの。」
儂はM202に付いた光学照準器で、その一部始終を確認した。
「…行こう。」
「燃やすぞ!進発!」
「「「アイマム!」」」
【ゲート】。或いは、【転移門】。この先の見えぬゲートの先には、およそ間違いなくゴブリンの群れ共が待ち構えておる。ではどうするか。
「ぶっ飛ぶのじゃ!」
M202A1のトリガーを引く。四発のサーモバリック爆薬を搭載したロケット弾が、ゲートに吸われて消えた。
「よし、突撃!」
入ったゲートの中は地獄そのものじゃった。
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