第五話 四十九院未明と爆轟

「死に晒せぇ!!!!」

「……儂らの出番はまだ先のようじゃの」

儂ら3人は、富士からはるばるやってきた砲弾やロケット弾、ミサイルたちの爆炎立ち昇る市街地を、ゆっくり歩いて進んでおった。まぁ、こうなるのは予想済みじゃったが、ここまで酷くなるとは、相当鬱憤が溜まっておったんじゃろ。

「吹き飛べ!そして塵となってこの地に埋まれ!ゴブリン如きがしゃしゃり出やがってよぉ!」

風魔法で武装したゴブリンどもを一箇所に集め、鮮血のカーペットで道路を舗装していく悪魔。UMPから放たれた銃弾をさらに加速して銃弾の放つソニックブームを起点に銃弾ごと吹き飛ばす衝撃波を作り出しておるのは、あの温厚柔和で一般市民からの人気も絶大な第13普通科連隊の看板娘、俵井陸士長じゃ。あの魔法戦術、あまりにグロテスク過ぎるために大規模作戦では使用が禁じられるほどのものなのじゃが、儂らしか見ておらんこの場では、その鬱憤晴らしを止めるものはおらん。

ちなみにじゃが鮮血のカーペットで道路を舗装するという婉曲なようで割とストレートな表現は、

『いやー、今日も【クリムゾン・ロードローラー】の名に恥じぬ暴れっぷりですね!やはり我が連隊の看板娘はこうでなくては!』

このアホ連隊長の発案じゃ。この厨二病臭いネーミングが、諸外国へのウケも良く、意外と松本エリアの支援増強に一役買っていたりするのじゃから、一概にアホとも言えんがの。

『っぱあの【ソニックデトネーション】の威力ぱねぇんだよなぁ、あれを砲兵器に流用できりゃあ大抵のもんは吹き飛ばせるんだが』

古末の言いよる【ソニックデトネーション】は、俵井陸士長のソニックウェーブを利用した衝撃波を発生させる魔法の名称じゃ。古末のやつは、【ソニックデトネーション】の兵器固着化にかなりこだわっておる。

「二佐〜、ゴブリンさんたちの掃討、完了しましたぁ〜」

戦闘が終われば、こんなに穏やかな笑みを…って

「俵井陸士長、血がついておるぞ」

儂がハンカチで拭き…拭き…ふんぎぎぎぎ!

「か、かわわっっ!!!」

陸士長が腰を折って儂も背伸びしてなんとか拭いてやった頃には、何故か知らんが久佐三尉も鼻血を垂らしておった。

「僕ちゃんは弟によくやってもらってたから大丈夫っすけど、一人っ子の久佐三尉にはきついっすよ」

そんなことを言いながら、耒田一曹が膝をついて鼻血を拭いておる。本当になぜなのじゃ。全く、困った部下じゃの。兎にも角にも、ゲートまでの討伐は終わったんじゃから、あとはダンジョン攻略じゃ!

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