第2話悪役令嬢と転生少女
『セシリアちゃんこんにちは。』
『あなたはだれ?』
『私はセシリアちゃんの前世だよ』
『前世?』
『そう。セシリアちゃんは今さっきまで生死を彷徨ってたんだよ。』
『私死んじゃうの?』
『死んで欲しくないから助けたんだよ。代わりに前世としての意識が自立しちゃった。だから混ざり合わなければならない。』
『なんで、混ざり合わないといけないの?』
『私は完全に私としての意思がある。つまりこのままだと二重人格になっちゃうんだ。前世の記憶が半分入っちゃうけど、混ざり合う方がいいんだ。』
『二重人格ってよくないの?』
『うーん、悪いってことではないんだ。ただ不便なんだよ。』
『不便?』
『うん。入れ替わる時、意識を失ったり記憶がなかったり。異端児扱いされたり周りから人がいなくなったり。』
『ちょっと不便かも…』
『でしょ?だから…』
『でも嫌、二重人格でもいいから、あなたと離れたくない。』
『セシリアちゃん。…分かった。セシリアちゃんの意見を尊重しないといけないよね。私もあなただし、あなたも私。』
『うん。だから一緒にいて。』
『もちろん。』
「んぅ……」
「セシリア!セシリア!!」
「お父様!」
「あぁ、セシリアやっと起きたのね!」
「お母様も!」
「私、どのくらい寝てたの?」
「2日だ。」
「そんなに…」
「とりあえずしばらくは安静にしときなさい。本を何冊か持ってくるから」
「分かりました。」
「あれは、夢?二重人格になっちゃったのかな?」
『二重人格ではないよ。よかったね。』
「へ?」
『やあセシリアちゃん。おはよう。』
「お、おはよう。」
『声は出さない方がいいよ。変人扱いされちゃう』
『わかった。』
『あ、名前を言ってなかったね。私は
『じゃあクルミ?』
『おっと苗字!ルナって呼んでよー。』
『ルナが名前なの??』
『私の世界、っていうか日本って国では後ろの方が名前なの。』
『じゃあルナ。私どうなってるの?』
『んーとね、二重人格は別々に出てくるけど、私たちは同時に出ちゃってる。』
『じゃあ心の中でずっと喋れるったこと?』
『いやー、そうしたいのは山々なんだけどさ。これ結構疲れる、すごく眠い。』
『そっか。』
『話したいことあるからさ、話していい?』
『もちろん!』
『私たち、っていうかこの世界についてなんだけど。前世にあった創作物そっくりなんだよね。』
『創作物…』
『乙女ゲームって言ってね。恋愛小説を、なんていうか、人生ゲームみたいな感じにしたもの。』
『どうゆうこと?駒を動かすの?』
『そうじゃなくて。何回もやり直すことができて、自分の選択肢によって未来が変わるんだよ。』
『ちょっと分かったかも。けど恋愛?』
『そう。この未来ってのがどの攻略対象。あー、好みの男を選んで結婚まで導くってやつ。』
『…なるほど??』
『理解できないのは当たり前だから大丈夫だよ。それで、そこに出てくる悪役が君なんだよセシリアちゃん。』
『私が?何するの?』
『ヒロインいじめて、それがバレて国外追放とかが多いね。』
『いや、かも…』
『そうだね。私も嫌だ。だから防ごう!私は何となくだけど未来がわかる!そしてセシリアちゃんには才能がある。だから2人で頑張ろ?』
『…うん!』
『…ところでさ、女の子ってどう思う?』
『へ?えっと、人によるけど可愛し綺麗だと思うけど…なんで?』
『いや、私ね。このゲームさ、主人公目当てでやってたんだ。めっちゃ可愛いんだよ!セシリアちゃんも絶対気にいる!』
『何が言いたいの?』
『えっと、私ね、百合が好きなんだよ。』
『?私も好きだよ?綺麗だよね。』
『いや、そうじゃなくてさ。女の子同士の恋愛を見るのが好きなの。』
『…つまり?』
『できれば、付き合ってほしーなー、なんて…』
『どうやってよ。説明通りなら主人公は男と結ばれるんでしょう?』
『え、協力してくれるの?』
『このままだったら若いうちに死んでたかもしれない。それを救ってくれたルナの思いは汲んであげたいと思って。けど、気に入らなければやらないからね!』
『方法ってのは、男装…なんだけど。』
『男装!そんな方法があるのね!私もやってみたかったの!』
『あれ?案外乗り気?』
『私の好きな本!【世界を守るために】は男装した勇者様が主人公なの!』
『へー、面白そう。』
『とっても面白いわよ!!罪悪感に苛まれながらも国と人々を守るために戦い続けるの!』
『ネタバレ?』
『あ゛!!ごめんなさい!そんなつもりなくって!』
『大丈夫だから。けどもう、睡魔が、』
『あぁ、おやすみなさい。』
『うん。おや、すみー。』
静かな夜にコンコンっと、扉を叩く音が響いた
「お父様。私です」
「入れ。」
「お父様、これからは我儘はいいません。しかし、これを飲むことはお父様にとっても辛いことは分かっています。でも、私の気持ちを隠し続けるはもうしんどいのです。まずは否定せずに聞いてください。」
「……」
「ふぅ…私は、男装がしたいです。」
「あの本の影響か?」
「はい。私はあの本があったから、人と目を合わせること、思ったことを言葉にすること、他にも沢山の大事な事を学びました。」
「男装をしたい理由は?」
「やはり憧れが強いです。」
「憧れだけでは許すのは難しい。」
「あの本の勇者様は大切な物を守るために戦い、強くなりました。私にも弟か妹が産まれます。これからはもっと増えるでしょう。守りたいものを守れるようになりたい。それでは…駄目でしょうか?」
「実はね、私自身は別に男装してもいいと思っているんだ。あの本を、お前が気に入ってからマリーとも話し合っていたんだ。」
「お母様も…」
「私たちは、セシリアの好きにさせることにしたんだ。」
「では!」
「私が周りに子供が出来たことしか言っていないんだ。」
「存じております。」
「流石だね。けど、国王陛下には言ってある。」
「つまり、陛下を納得させないといけない。」
「うん。それができたら私たちはセシリアのやりたいことを全力で手伝うよ。期限は8歳のお披露目パーティーだ。」
「…まずは手紙を送ってみます。」
「そうするといい。」
「では、失礼します。」
『ルナ、起きてる?』
『うん。それで、どうやって男装しようか?いきなり髪を切れば両親は頷いてくれるかな?』
『もう両親の許可はとった。あとは国王陛下だけ。』
『は??早くね?』
『ルナが寝てる間に終わらせといた。陛下に手紙を書くから力を貸して。』
『いいけど…展開早くね?』
『元々男装はしたかったから、用意していたのよ。』
『何を?』
『納得させれそうな言葉。あとナイフと男物の服。』
『すげぇー。』
『とりあえず考えよう。お披露目パーティーまでに許可を取らないと!』
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