第38話、森の中のエルフ

そんな形で自分は中々アンナ達に会えない日々が続いていた。


やはり相手が王子なので下手に行動をしてしまえば取り返しがつかないことになるのでその辺りは慎重に動いていた。


姫様であるユユリちゃんがしっかりと守ってくれるらしいけど、自分にできることは更に強くなって何が来ても良いようにするしかなかった。


そんな日々が続いてついに夏休みに入ってしまった。結局のところ会いたくても魔王城に向かって行ったとしても姫様の依頼でと伝えても魔王様から誰も通すなと言われて門前払いされていた。


いくらユユリちゃんの依頼と言っても相手が魔王様であれば分が悪すぎる。まさか、あの王子がここまで頭が回るなんて・・・いや、もしかしたら山中鹿之助の入れ知恵かもしれないと感じた。


その為に会えずにいたので最近は一人でいることが多くなってしまっていた。学園では良くも悪くも噂が広まって王女と仲が深まっていると聞いたのか大抵の貴族の娘たちは諦めて声をかけなくなっていた。


別に一人が好きではないのにと思っている時にずっと屋敷にいるしかないかなと考えていた時に渡辺通さんが部下たちを引き連れて戻って来たのである。


その数、およそ千ぐらいだった、いくら何でも多くないですかと聞くと渡辺通さんは多くはないですからと伝えてきた。


そして自分はここに千の兵士たちを養える事ができないので領地で戻ってそこで暮らしてもらう事にした。


幸いなことに貰った土地は未開拓が多くそれなりに広いのに町が2つしかないほどであった。


でもそのおかげで何とかなりそうなのは良かったことかもしれないけどと考える事にした。


そうして自分も領地に向かいしっかりと安定しているか見て回る事にした。まさか、在学中に貴族になるとは思いもしなかったから大変なことだなと思いながら回って森の中を探索していると何処からか誰かがいるような気がしていた。


一応、危険な存在かもしれないので確認をしてみることにした。そうして気配を感じた方角に進むと森の中で寝ているエルフを見つけたのであるがその姿に自分は見ているだけでも真っ赤になりそうな服装をしていた。


服を着ていると言ってもその服が薄く透けてしまっている。それなのに色々と男性の視線を食い付けするよう場所が隠れていないのだ。


その上に髪の毛も白銀と紫の中間みたいな色をして余計に魅惑な雰囲気を出していたのだ。言葉に表すならば、傾国の美女と呼ばれてもおかしくない姿をしていた。


自分は恥ずかしいと思いながらもその寝ているエルフに対して声をかけるのだった。



「あのー・・・寝ているところ大変申し訳ありませんがその格好だと色々と大変な事になるかもしれませんよ」

「・・・うん?誰か来たのですか・・・何だ普通の人間さんでしたか。私はここでゆっくりと寝ているだけなので気にせずにしておいてください」

「いやいや、普通に気になりますよ!?自分だって男ですから貴女みたいな美しいエルフが寝ていたら変な気が起こしますから少しばかりは警戒をしておいて下さいよ」

「フッフッフ、確かにそうかもね。でも来れるなら来てみなさい、私がどうしてこんな風に安心して寝ているのか分かるから」



そう言われたので近づいてみようとして接近するとなにか違和感とか感じてスピードが落ちてしまったけど普通に辿り着くことができてしまった。


それを見たエルフが驚いた顔をしてあの風の結界をなんともない顔で来たことに驚いたらしいけど確かにレベルが80クラスだと突破なんて出来ないだろうし・・・あれ?そうなるとこのエルフは相当に強いことになるぞ。


渡辺通さんや山中鹿之助などでレベルがバグに近い状態になっているけど80レベルって普通に裏ボスに挑めるぐらいに強いからなと思いだして自分は自己紹介をしながら彼女に対して話しかけるのだった。



「あの〜、いきなりですけど自己紹介をしますね。自分はアクト・イングールと言います、気軽にアクトと言ってください」

「アクト・・・確か、この前にこの地にあった呪われた結界を破壊してくれた人間だったわね。それならば私も自己紹介をしておかないとエルフとして駄目だね思いながら私はジュリア、見ての通りにのんびりとする事が好きなエルフだよ」



それは見ていればそうかもしれないなと思っているけどその服装は何とかなりませんかと聞くとジュリアはにやにやしながらなるほどアクトく〜ん、何処見ているのかなと言いながら挑発してきていた。


くそ、あのような服装をしているなら誰でも見てしまうだろと思いながら目を逸らしていたけどやはり胸に視線が行ってしまってチラチラと見ているとやはりここが気になるのねとクスクスと笑ってジュリアは見て笑っていた。


この野郎、こちらを童貞としてからかっているのか。まあ、確かに前まではそうだったから何と言えないけどそれよりもそんな恥ずかしそうな服装をして何もされないのと尋ねるとジュリアは基本的に私の強さでビビって逃げてしまうからねと笑顔で話してくれた。


確かにここまで強いならと思いながらそのレベルはなんと103レベルなのである。


それを聞いてなるほどなと思ってしまった、これならば余裕な行動しているのも納得してしまうけどここ最近は本当に不気味だから気をつけるように伝えた。


するとジュリアは確かにそうかもねと言って納得してくれていた。実はここ最近は辺から自分よりも強い者の気配を感じ取ることが増えてきたので警戒は始めていたのである。


それにしても警戒なんてしていないような気がするのだけどと思っているとジュリアはこちらを見て何か面白いものを見つけたような表情になりながら私もアクト君の行動に付き合っても良いかなと言ってきたのであった。


何かと大変そうな感じがするのでお断りをしようとしていたらジュリアがえーと言いながら自分に対して言ってきたのである。



「アクトく〜ん、それはないよ私の胸や生足など色々と見てきたのに簡単に見捨てちゃうの?それとも好きな子には困った顔が見たい悪戯っ子なのかな」



違うからと言ってもそのまま放置したらこの地に変な噂が広まってしまうと考えた自分は迷惑をかけないと約束をしてくれるなら付いてきてもいいよと答えるとジュリアは嬉しそうにしてそれを承諾をするのだった。



「ありがとうね、アクトく〜ん。やはり私の魅力に負けちゃったのかしら」



だから違いますから貴女を放置していたら大変なことになりそうだからですと伝えてもその割には相変わらずに視線は胸や生足を見ているのねとクスクスと笑われて面倒な女性に捕まってしまったなと自分は思いながらも領地の見回りをするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る