第29話、ウォーミングアップ

それからあっと言う間に3日後になり決闘当日になっていた。


元々自分とアンナの再戦決闘があったので多くの観客が来ていたのである。その中には貴族たちも来ており完全に闘技場みたいになっていた。


まあ、これこれで悪くはないかもしれないけど自分は連戦になるから体力の消費は出来る限りに抑えて戦う必要がある。


でもこの前の戦いよりは遥かに楽であろうから今回はこの流星刀はお休みだなと思いながら部屋に置いてきた。


その代わりに昔からの使っていた刀を持ってきていた。


アンナからはそれで来てくれて嬉しいと言っていた。まあ、流星刀はリアルチートなのでそれで勝っても意味がないからな。


流星刀を使う時は大切な存在を守る時だけで基本的に使わない事にした。流星刀も何となくであるけどそれを望んでいるように感じ取れていたから。


それで来たのだけど会場はとても盛り上がっていた、自分たち以外にも決闘がありそれを見て周りは盛り上がっていたけど自分はどうやってアンナに勝つべきかと悩んでいた。


アンナのあの様子から見て自分の力を間近で見ているのに戦いを挑んでくるのには何かしらの勝機があると見るべきである。


しかもこちらが古代魔術を使えるのに勝てると思う作戦の内容が気になるけどそれは戦わないと分からないからこればかりは色んな手で仕掛けてきても対応できる立ち回りをするしかなかった。


そうも考えている間にも自分とレオンとの決闘が始まろうとしていた。するとかなり周りから期待しているのか今日一番の盛り上がりを見せていた。



「ふんー、逃げなかったのだなアクト。逃げればこんな大勢から恥ずかしい所を見られることはなかっだろうに」

「それは負けたらそうなるかもしれないけど・・・本当に良いのですか。それがレオンになってしまうかもしれないと考えてはいないのですか」



それを言うと最初から負けるために来るやつ入るかと言われた。それはそうかもしれないけどレオン・・・貴方のレベルはせいぜい10〜20位だよね。


自分は97もあるので完全にイジメに近い状態になってしまうのはとても心苦しいけど相手がやる気があるならもうどうしょうもないなと諦めて戦う事になった。


そうして審判がそれでは両者、始め!!と言って試合が始まったのだけど向こうが一気に勝負を決めると言って迅速な動きをしてくるかなと思っていたらレオンの動きが想像以上に遅かったのである。


ここまでレベル差があるとこんな感じになってしまうのかと感じながらも軽く避けるとレオンは何と!?驚いていたけど周りはきっとまぐれだから頑張ってとレオンに対する応援がここまで響いていた。


何?自分の応援団・・・いるわけ無いでしょうが!!


レオンは先程の攻撃を避けたのに諦めきれずに攻撃を再開していたけどまたしても避けた上に軽く反撃をするとレオンはまるで重い一撃を受けたように吹き飛ばされてしまった。


周りも驚いて声が何も聞こえなくなりまた自分も軽く反撃をしただけなのに何かやばいことになっていないかと心配になった。


するとレオンはもうボロボロになりながらも頑張って自分と戦おうとしていた、その意志は本当に素晴らしいと思いながら見ていた。


その敵が自分でなければ心の底から応援をしたかったのになと思っていたら自分の代わりに他の者たちがレオンを応援してくれていた。


良いぞ、自分の分まで応援をしてくれよと思っているとレオンはみんなが勝利を信じて応援をしてくれているのだ、こんな所で負けられないと血だらけになりながら頑張って戦おうとしていた。


やばいですね、完全にこちらが悪役になっていますね。実際に悪役だから当たり前かもしれないけど。


それにしても弱すぎ、自分は原作だと滅茶苦茶に弱くこんなやつに負けるやつがいるのかよと言われていたやつですよ!?


だからこそ鍛えたですけどそれでも主人公がこんなに一方的に負けるところなんか見たくないですけど。


だからと言ってもわざと負けたらそれはそれで違うしなとどうすれば良いのかと悩んでいるとその間にもレオンはみんなの応援に答えるために攻撃をしてきていたのである。


自分は急な攻撃でついつい本気で返り討ちしてしまった。


すぐにレオンに対して大丈夫ですかと尋ねてみると生きているらしいけど完全に戦闘不可能になっていたのを見て審判が自分の勝利と判断したのである。


しかし、周りはかなりのブーイングが発生して卑怯な手を使ったに違いないとか審判を買収しているだろうとか悪口が言われていたがその時にとある者が発言をしたのだった。



「お主らは勝者に文句を言うつもりなのか、それは我に対する反論としてその売っているものを買うつもりだがもう一度言おう、我に反逆するつもりか」



それは特別席で見ていた魔王様がそう発言すると周りの者たちは魔王の恐ろしさで何も言わずに黙り込むのだった。


確かに物凄い威圧だなと思いながら自分も聞いていた。誰も魔王様に歯向かう勇気など持っていないから何も言わずに黙っている事にしたらしい。


そして魔王様が自分に対して次はもっと面白い試合を見せてくれることを期待していると言われたので自分は後々のために魔王様に対してはい!と発言をするのだった。


普段ならこの後に陰口や悪口を言われるけど目の前に魔王様がいるので誰も怖くて何もしてこなかった。


やはり魔王様は特別な存在なのだなと思っているとアンナが待ちくたびれそうになったと言いながら現れたのである。


先程の試合を見ていたのかアンナは退屈すぎてウォーミングアップはしっかりと出来たかしらと言われたので自分はそれぐらいなら出来たよと言い返した。


なら負けても文句は言わないでおいて欲しいわと言ってからアンナはレイピアを出して構え始めた。


自分も先程の勝負では刀を抜く事はなかったけどアンナを相手にそれはできないのは知っているのでこちらも抜いて戦う構えをした。


先程よりも明らかに大変な試合になるだろう。向こうはこちらの全力を知っているけど自分は今のアンナの全力を知らないのだ。


これだけでもかなり厄介である、敵の力を完全に知らないのは戦いにおいて致命的なことに繋がりやすいからであるから。


だけどそれはまた面白い事でもあるけどなんせ命懸け戦いではないからと思いながら自分は勝負の時を待っていた。


そしてその時が来るのだった。



「それでは両者、試合を始め!!」

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