第6話、お願いしますから大人しくしたいだけなのです

そうして自分は遂に原作のゲームで見慣れた景色をこの目で見届けていた。


このゲームのファンとしてとても嬉しい限りである。しかし、今日はゆっくりとしている場合ではなかった。


この後に入学式があるのだ、いきなり遅刻なんてしたら印象などかなり悪くなってしまうから少しばかりはしっかりとした所を見せないといけないなと考えながら向かい始めた。


それにしてもゲームで賑わっていたことは分かっているけどこうして現実で見ると本当に賑わいが分かるよなと思いながら歩いていた。


そうしてしばらくして歩くと目的の学園に到着したのである。周りは同じ入学生だろう者たちが多くこんな所に通うのかと考えながら歩き出すと周りから陰口が聞こえ始めた。


何でこの場所にあの様な下等生物がいるのとか視界に入るだけでも気分が悪くなるとか聞いているだけでも嫌になるほどに陰口を言われていた。


前世から慣れているから良かったけど普通なら間違いなくに怒るよなとここで怒って喧嘩をしていた原作のアクトの気持ちが理解できた。


でもここは大人の対応を見せておこうと思いで気にせずに向かい指定された場所に到着して自分は周りを見てみんなの様子を確認していた。


やはり好感を持ってくれている人物はおらず周りは敵ばかりと言ってもおかしくない感じであった。


自分はため息を付きながらもゆっくりとして入学式を待っていた時に自分に声を掛けてきた悪魔が現れたのである。そしてその悪魔に見覚えがあるなと思い出しながら話を始めた。



「あんた、ここは何処か分かって座っているのかしら」

「それはもちろん、ここは黄昏学園で悪魔、魔人や貴族たちなど通う学園ですよね。何か問題でもありますか」

「大アリよ!何でこんな下等生物なんかを同じ同級生にならないといけないのよ」



その言葉を聞いて思い出した彼女はアンナ・クロスガーナ、クロスガーナ伯爵家の娘さんでメインヒロインの一人だ。


最初は人間に対しては勿論のこと今の時代では珍しく魔人に対しても差別的な事を言うメインヒロインであり物語が進むにつれて丸くなり最後はお前は聖女か!とツッコミが来るぐらいに変わるのだけどなるほど最初だからこんな感じなのねと一人で納得していた。


それにしても静かにしていたのにこんなに早くも目をつけられてしまうなんてと嫌々な気持ちになりながらも出来る限りに相手にせずに静かに待つことにした。


すると怒りそうな表情をしながら後で覚えておきなさいよと何か因縁つけられた。


その後にゲームのオープニングで流れる入学式が始まり大人しく自分は聞いていた。



「皆様!この学園で一番大切なことは・・・力です。力があればどんな理不尽な事にも対応ができ、そして思いのままです。力がなければ強き者の糧になります。皆様には是非とも我が学園で強き者になっていただきたいと思っています」



本当に悪魔、魔人などが主体だから過激な学園だなと感じていた。


弱肉強食過ぎるなと前世から思っていたからこそここまで強くなって少なくても糧にならないように頑張ってきたつもりだ。


そんな事を思いながらも入学式を終えて自分は指定された教室に向かい始めた。


でも指定された教室は原作と同じであり何か嫌な予感をしていたけど大人しくしていれば特に問題はないはず・・・・そう考えていた時期も自分にはありました。


教室に辿り着くと底には先程に自分に対して挑発的なことを言って来ていたアンナがいたのでとにかく静かにしておこうとしていたら向こうからまたしても問題を起こそうとしていた。



「全くもいるだけで嫌になるのにどうして同じクラスの上に席が隣なのよ!!全く、信じられないわ」



それに関してはマジで同意する、何で原作メインヒロインの隣なのと内心でそう思っていると周りが騒ぎ出していたのであるので自分はどこでも構いませんからと伝えた。


すると担任の先生はならここは黄昏学園らしく勝負で決めるのはどうかなと言い出した。


それを聞いた自分はうわ〜と思いながらゲームのことを思い出していた。


そう、黄昏学園で行われている決闘があるのだけどその戦いに勝つと相手に対してどんな要求をしても問題ないのだ。


まさしく力こそ正義だと言うばかりと言えるのだけどいきなりそれをやらせようとしないでください。


そんな事をしたければ原作主人公でもして来てください・・・それと原作主人公は何処にいるのであろうか。


ストーリーには主人公の立ち絵などが存在しておらず見つけるのにはかなり難しいけど周りから評価が高い人物を見ておけば分かるかもしれないと思いながら辺りを見ていると何かしらの雰囲気を出しているクラスメイトがいた。


自分は直感的にこの人物が主人公だと理解をした。他の者たちと違うオーラを出しており何かと周りから好かれやすい体質など考慮をしても原作主人公だと思っていたほうが良い。


ようやく出会えたと喜びとそして自分に対してどんな評価をしているのかと考えていると原作主人公が動き出したのである。



「先生、このレオンに一つの提案があります。ここは公式にアンナさんとアクトが戦い負けた方がその人の奴隷にさせるのは如何でしょうか」



ヤッター助け舟が来たと思っていたら三途の川の船頭で死神が乗っているですけど!!??お前はそれでも主人公なのか、ここは主人公らしく格好良く助けてくれーと泣きそうになりながらも周りがそうだそうだと言って盛り上がりを見せて素直に受け入れるしかなくなった。


何でだ、普通に大人しく学園生活を楽しもうとしていたのに初日からこんなやばい事になってしまうなんて聞いていない。


と言うかこれに近い状況になって戦うのは主人公のレオんだろ!?しっかりと主人公の務めを果たしてこい!!


こんな悪役に任せるな!ここは主人公が格好良く決める場面だろうがとどんなに思っても状況が良くなることはないので諦めて素直に頑張ることにした。


本当に大人しくしていただけなのにこんな事になるとは流石、黄昏学園と言うべきなのかなと考えていた。


さてと流石にこの時のメインヒロインたちに負ける事はないだろうけど油断はせずに向かうつもりだ。


それとアンナに勝っても無理矢理に酷いことをしないと伝えておかないと後で周りから冷たい目で見られてしまう可能性・・・いや、既に見られていたわと感じた。


本当にどうしてこんな事になったのであろうかと思いながらも午後には決闘する事が決まってしまったのだった。


それにしても本来ならば原作主人公であるレオンが平民の分際でと言う理由で戦うはずなのに自分が代わりに戦ってしまっても良かったのであろうか。

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