最終話:大きな衝撃
健一の失踪は、彼の友人や同僚たちに大きな衝撃を与えた。数日間、誰も彼の姿を見た者はいなかった。彼の上司が警察に通報し、捜査が開始された。
警察が健一の家を訪れた時、特に異常なものは何も見つからなかった。部屋は整然としており、何かが争われた形跡もなかった。ただ、玄関に置かれた古い扇風機が一際目立っていた。
一人の警官が扇風機の前に立ち、その古びたデザインに興味を持った。「この扇風機、どこかで見たことがあるな...」彼は呟いたが、同僚は「ただの古い扇風機だろう」と軽く流した。
捜査が進む中、警察は健一の行方を追い求めるために家中を調べたが、手掛かりは見つからなかった。ただ一つ、健一のベッドの枕元に彼の携帯電話が置かれており、それが唯一の手がかりとなった。携帯電話の履歴を見ると、健一が頻繁に同じ夢を見ていたことを友人に話していたことがわかった。
「扇風機の前で囁く声が聞こえる...」と友人に送ったメッセージを見た警官たちは、一瞬互いに顔を見合わせた。「まさか...」という思いが彼らの頭をよぎった。
その夜、捜査官の一人、田中巡査は再び健一の家に戻り、扇風機を注意深く調べ始めた。すると、何かが気になって扇風機の裏側を覗き込んだ。そこには、古い紙片が貼り付けられており、薄暗い光の中で彼はそれを読み上げた。
「この扇風機は、私の魂を封じ込めるためのものである... もし捨てられれば、再び戻る。私を解放するためには、私が伝えた通りにするしかない...」
田中巡査は震えながらも、その紙片を持ち帰り、上司に報告した。翌日、専門家が調査に加わり、その扇風機の謎を解明するための研究が始まった。
数週間後、専門家の一人が扇風機の内部に隠された小さな箱を見つけた。その中には、古い写真と手紙が入っており、それは昔の持ち主が書いたものだった。手紙には、次のように書かれていた。
「この扇風機を使うと、彼女の魂が解放される。しかし、正しい方法で使用しなければ、彼女は夢の中で囁き続けるだろう...」
専門家たちは慎重にその指示に従い、扇風機を分解して正しい手順で再組み立てを行った。そして、最後にその扇風機を特定の方法で使用した。
その夜、田中巡査は健一の家で一晩中待機した。扇風機が再び動き出すと、かすかな囁き声が聞こえ始めた。しかし、その声は次第に弱まり、ついには消えてしまった。
翌朝、健一の姿が玄関に現れた。彼は疲れ切った顔をしていたが、無事だった。健一は警察に、自分がどこにいたのか、何が起こったのか全く覚えていなかった。ただ一つ、彼は「夢の中で彼女が解放された」とだけ呟いた。
その後、健一は二度とその扇風機を使わなかった。そして、その扇風機は博物館に寄贈され、詳細な記録とともに展示されることになった。健一の奇妙な体験は、訪れる人々にとって恐怖と興味を掻き立てる物語となった。
扇風機の囁き O.K @kenken1111
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