第2話 勇者アレクシスとの出会い
香織とエリザベスは城の大広間へ向かって歩いていた。途中、香織はエリザベスにいろいろな質問を投げかけた。
「エリザベスさん、この世界には他にも探偵っているんですか?」
エリザベスは首を横に振りながら答えた。
「いいえ、探偵という概念自体がこの世界には存在しません。あなたのように謎を解くことに特化した人物は、非常に珍しいのです。」
香織は驚きの表情を浮かべた。
「そうなんですか!じゃあ、私がここに来たことで探偵ブームが起きるかもしれませんね。今度は探偵スクールでも開こうかな?」
エリザベスは笑みを浮かべながら答えた。
「それは素晴らしいアイデアですね。ですが、まずはアレクシスの真実を解明することが先決です。」
香織は真剣な表情に戻り、頷いた。
「そうですね、任務を果たしてから考えます。」
彼女たちは城の大広間に到着し、勇者アレクシスの前に立った。アレクシスは背が高く、金色の髪が輝き、鋭い目を持つカリスマ的な存在だった。彼は豪華な鎧をまとい、その姿はまさに英雄そのものであった。
「これが勇者アレクシスね……本当にカリスマ的な雰囲気があるわ。」
香織はアレクシスに近づき、手を差し出した。
「初めまして、三田村香織です。あなたの噂は聞いています。魔王を討伐した英雄だそうですね。」
アレクシスは微笑みながら香織の手を握った。
「香織さん、初めまして。あなたの名声も聞いています。名探偵として名高いそうですね。」
香織は微笑み返しながらも、アレクシスの冷徹な目に違和感を覚えた。
「そうですか。それにしても、エリザベスさんが言っていた事件のこと、少し詳しくお聞きしたいのですが。」
エリザベスは頷き、話を続けた。
「最近、王宮内で不可解な事件が次々と起こっています。宝物庫から貴重な遺物が盗まれたり、謎の失踪事件が発生したりしているのです。アレクシスも心配しており、あなたの助けが必要だと考えました。」
香織は頷きながら、アレクシスに目を向けた。
「それで、アレクシスさん、これらの事件について何か心当たりはありますか?」
アレクシスは少し考え込んでから答えた。
「残念ながら、特定の手がかりは持っていません。しかし、私も王国の平和を守るために全力を尽くしています。」
香織は微笑みながらも、心の中で疑念を抱いた。
「なるほど、全力を尽くしているけど何もわからない……ちょっと怪しいわね。」
彼女は思考を整理しながら、次の質問を投げかけた。
「では、アレクシスさん、これらの事件が発生し始めたのはいつからですか?」
アレクシスは少し驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻して答えた。
「事件が始まったのは魔王討伐の数ヶ月後です。その頃から王国には奇妙な出来事が続いています。」
香織は頷きながら、エリザベスに目を向けた。
「エリザベスさん、宝物庫の防犯システムはどうなっていますか?魔法の結界とか?」
エリザベスは首を振りながら答えた。
「この世界には魔法の結界が張られており、通常は誰も侵入できないはずです。しかし、最近の事件ではその結界が何者かによって破られた痕跡がありました。」
香織は考え込みながら言った。
「魔法の結界を破るなんて、相当な力を持っている者が関わっているに違いないわね。」
その時、香織の視線はアレクシスの背後に立つ彼の仲間たちに向いた。彼らは皆、独特の雰囲気を漂わせていた。
**セリス**は、銀色の髪が美しく揺れる魔法使いで、その青い瞳には知識と知恵が溢れていた。彼女の持つ杖には神秘的な紋様が刻まれており、その存在感は一際強かった。
**レオナ**は、長い黒髪を一つに束ねた戦士で、その鋭い目つきと強靭な体つきが印象的だった。彼女の鎧は実用的でありながら美しく、常に戦闘態勢を崩さない姿勢を見せていた。
**ダリウス**は、短い赤毛を持つ巨漢で、その優しい目と豪快な笑顔が特徴的だった。彼の両手には大きな斧が握られており、その圧倒的な力を感じさせた。
香織は一人一人の容姿と雰囲気を観察しながら、彼らの関係性を推測した。
「皆さんも、アレクシスさんと共に魔王討伐に参加したんですか?」
セリスが微笑んで答えた。
「はい、そうです。私たちは共に戦い、王国を守るために力を尽くしました。」
レオナも頷きながら言った。
「そうです。アレクシスは私たちのリーダーであり、信頼できる仲間です。」
ダリウスは豪快に笑いながら答えた。
「彼がいなければ、私たちはここまで来ることはできなかったでしょう。」
香織は彼らの言葉を聞きながら、内心の疑念を深めた。
「なるほど、皆さんが信頼するリーダーね。でも、その目には何か隠されたものがあるような気がする……」
彼女は思考を整理しながら、次の手がかりを探す決意を固めた。
「さあ、事件の真相を暴きましょう。まずは宝物庫の現場を調べる必要がありそうですね。」
エリザベスとアレクシス、そして彼の仲間たちは頷き、香織を先導する形で宝物庫へと向かった。
こうして、香織の異世界での本格的な調査が始まった。彼女の鋭い観察力と推理力が、この世界でどのように発揮されるのか、期待が高まる。
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