【完結】異世界名探偵三田村香織:勇者の陰謀を暴け!

湊 マチ

第1話 異世界への目覚め

名探偵三田村香織は、突然異世界に転生し、見知らぬ森で目覚めた。彼女は目を開け、周囲を見渡すと、見たこともない森が広がっていることに気づいた。木々の間から差し込む光が幻想的な雰囲気を醸し出し、まるで絵本の中にいるようだった。


「ここはどこ……?」


香織は立ち上がり、自分の服装が普段のものとは異なることに気づいた。淡いブルーのドレスと柔らかい革靴、そして腰には探偵道具が入った小さなバッグが付いていた。


「まるで異世界のようね……」


その瞬間、香織はふと、自分がこの場所にいる理由を思い出そうとした。だが、昨晩のことが曖昧で、まるで霧がかかったように思い出せない。彼女はゆっくりと歩き始め、周囲を慎重に観察しながら進んだ。


すると、前方から人影が見えた。近づいてみると、そこには美しい女性が立っていた。彼女は王女のような雰囲気を漂わせており、その優雅な立ち姿に香織は息を呑んだ。


「あなたは……誰?」


香織が問いかけると、女性は優しく微笑んで答えた。


「私はエリザベス、この王国の王女です。あなたは、ここに来るべき運命の人なのでしょう。」


香織はその言葉に驚きながらも、自分がこの異世界で何をすべきかを直感的に理解した。


「私の名は三田村香織。探偵です。この世界で何が起こっているのか、調べる必要があるようですね。」


エリザベスは頷き、香織を導くように手を差し伸べた。


「実は、勇者アレクシスに関する不審な事件が起きているのです。彼は魔王を討伐するために旅立ちましたが、その後の彼の行動には不穏なものがあります。どうか、あなたの力で真実を明らかにしてください。」


香織はエリザベスの手を取る前に、困った顔で言った。


「うーん、ちょっと待ってください。これ、異世界ってことは、仕事の報酬はどうなるんですか?クレジットカードも使えないし、家賃も払えないですよね?」


エリザベスは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑みを浮かべた。


「心配ありません、三田村香織。あなたにはこの世界での最高の待遇と報酬をお約束します。それに、冒険には何よりも価値があります。」


香織は腕を組み、さらに考え込んだ。


「それはいいんですけど……異世界の冒険って危険がつきものじゃないですか。怪物とか魔法とか、ちょっと怖いんですよね。」


エリザベスは微笑みを絶やさず、言葉を続けた。


「もちろん、危険はあります。でも、あなたは勇敢な探偵です。あなたの知恵と勇気で、この王国を救ってほしいのです。それに……」


エリザベスは少し恥ずかしそうに、しかし真剣な表情で続けた。


「実は、私たちには特別な保険があるのです。もし何かあって倒れたとしても、復活の呪文を使って復活できる保険です。」


香織は驚きとともに少し笑いを漏らした。


「復活の呪文ですって?それって、ドラクエじゃないですか。まあ、でもそれがあるなら少しは安心できるかも。」


エリザベスは微笑んで頷いた。


「はい、その通りです。復活の呪文を使えば、再び立ち上がることができます。この保険に加入すれば、あなたの安全は保証されます。」


香織はため息をつき、少し笑いながら言った。


「わかりました、わかりました。断る理由が見つからないなら、やるしかないですね。でも、何かあったら、ちゃんと責任取ってくださいよ?」


エリザベスは嬉しそうに頷き、香織の手を取った。


「もちろんです、香織。あなたの力で、この王国を救ってください。」


こうして、異世界の探偵三田村香織の新たな冒険が始まった。彼女はエリザベスと共に勇者アレクシスの真実を探るため、未知の世界へと足を踏み入れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る