第8話 頑張ってフラグを立てよう!

 早川さんの部屋で、同日に2回俺。仕事帰りに連続は疲れるが、明日から3連休だから問題ない。


抜いてもらって調子に乗った俺は、早川さんに「裸を見たい」と言ってみた。見事に拒否られたものの、異性として好きな人には見せるらしい。


生徒と教師の間柄だから距離を縮めるのは難しいが、覚えておいて損はないだろう…。



 「ねぇ颯君」

から、早川さんが声をかけてきた。


「何だ?」


「男の人って、結構ティッシュ使わない?」


2回を拭き取ったから気になったんだろう。


「気にした事ないがそうかもな。俺は普段風呂でヤる事が多いからあまり使わないんだよ」


「洗うついでに出すんだね。無駄がなくて良いじゃん」


「そういう事だ。早川さんはどうしてる?」


言い終わってから気付く。この質問はマズいのでは?


「…颯君。あたしに抜いてもらってから、Hな事ばかり考えてない?」


「えーと…」

事実だから返答に困る。


「図星か~。お願いだから、学校でそういう事言うの止めてね? A組の

みんなビックリしちゃうよ?」


「その心配は無用だ。メリハリはちゃんとつけてるから」


なんて言ったが、正直不安な気持ちはある。今までの教師生活で、こんなに生徒に振り回された事はないからだ。


「…そういう事にしてあげる」



 仕事の疲れと2回疲れにより、大きなあくびが出る。


「颯君眠そうだね?」


「まぁな。この数日、ロクに寝れてないから」

原因は早川さんだが、言う必要はない。


「そっか。先生って大変なんだね」


もうそろそろ帰るか。睡魔がヤバい事になっている。


「早川さん、俺は帰るよ」


「わかった。あたしお風呂入りたいから、ちょうど良かったよ」


「風呂だと?」

妄想しがいがあるな!


「またHな事考えてる。 凄いね~」

呆れ顔の早川さん。


「これは男の性だから…」

女性が風呂に入ると聴いて萎える男はいないはず。


「はいはい。颯君が帰った後に入るから、好きに考えて良いよ」



 玄関で早川さんに見送られた俺は帰路に就く。彼女の風呂の様子を妄想しようにも、お腹を見た程度では難しい。もっと材料があれば…。


材料を得るには、早川さんにとって特別な人になる必要がある。距離を縮めようにも、教師と生徒が一緒に学校の外で過ごすのはマズイ。学校関係者や保護者に見られたら言い訳のしようがない。


車で遠くに出かけるのは不可能になる。何故なら車の免許を持っていないからだ。買い物はネットで十分だし、通勤は電車で良いやなんて考えたせいで…。


なんて後悔しても始まらない。できる範囲で何とかしないと。



 家に戻って風呂に入ってる時に、妙案が浮かぶ。家で過ごす“おうちデート”があるじゃないか! 映画やアニメを観て互いを知る事が出来れば…。


こんな事で好感度が大きく変動するとは思えないが、やらないよりはマシだろう。風呂から出たら、早川さんに電話だ!



 風呂から出て着替えた俺は、早速早川さんに電話する。女子の風呂は長いとはいえ、さすがに出てるだろ…。


「…もしもし、颯君どうかした?」


「急に電話して悪いな。今大丈夫か?」


「大丈夫だよ。バスタオル1枚だけど♡」


「えっ…?」

良い光景が広がってるんだろうな~。


「あっ、外れちゃった♡」


「何だと!?」

という事は、今の早川さんは素っ裸…。


「う・そ♡ 颯君がこんなにからかいがいがあるなんて思わなかったよ~」


「……」


「ごめんごめん、ふざけすぎたよ。それより何か用事があったんじゃないの?」


「明日、俺の家でアニメとか映画を見ないか? サブスクに入ってるから、たくさん見られるぞ」


「良いね。行くよ」


まさかOKしてもらえるとは…。


「ありがとう。時間は当日決めよう」

今決めても、俺が早く起きれる自信がないからだ。


「わかった。それじゃ明日ね、颯君」


「ああ」

返事をしてから、電話は切れた。


彼女にとっては遊びでも、俺によっては“おうちデート”だ。今日は情けないところばっかり見せちゃったし、汚名返上しないとな!

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