第2話 ドキドキの空間
生徒の
昨日は早川さんがあそこをさすってきた感触が忘れられず、全然熟睡できなかった。
あの感触をもう1回味わえたら…。って、朝から何を考えてるんだ! 煩悩をすぐ振り払い、俺は準備を始める。
何とか朝の準備を終えて出勤した俺は、いつも通り職員室に入る。俺のデスクの隣は、オカズにしている
彼女は俺より年下の25歳。新卒で相坂高校に入ったらしいので、立場的には先輩だ。ここに来て数か月ぐらいは、かなりお世話になったな…。
「おはようございます、村松先生」
座る直前に挨拶する。
「磯部先生、おはようございます」
今日も可愛いな~。しかもスタイル・胸共に良い感じ。ほとんどの男がオカズにすると思われる逸材だが、今後は自重しないと!
というのも、昨日早川さんが言った件が気になっている。彼女の言う事を信じるなら、股間のわずかなふくらみが生徒にバレるらしい。
それに気付いているのはごく少数だと思いたいが、対策するに越した事はない。
職員室で朝の職員会議が始まり、校長が話す内容を確認する俺。……隣のデスクにいる村松先生から香水か柔軟剤の良い匂いがする。
この状態で無心でいるのは辛い。だがそうしないと生徒にバレてしまう…。この気持ちは夜発散しないと、俺・あそこ共に納得できないだろう。
職員会議が終わったので、俺は村松先生から逃げるように職員室を出て、2-Aに向かう。これ以上彼女のそばにいたら、良からぬ事を想像してしまう…。
なんて考えてる内に、教室前に来てしまった。まだチャイムが鳴るまで数分あるがまぁ良いか。そう思って入ると…。
「きゃ~!」
「どうすれば良いの~!?」
生徒達が“おしくらまんじゅう”をしてるかのように密着して、反対側の壁を見つめている。気になったので確認すると、そこそこ大きい虫が止まってるぞ。
「先生、あれ何とかして!」
俺に気付いた生徒がヘルプを求める。
虫は田舎・都会問わず出るから厄介だよな。こういう事は初めてじゃないが、俺だって虫は苦手なんだよ…。
とはいえ、年下かつ女子に情けないところは見せられない。何とかしないと。
殺虫剤で倒した後、大量のティッシュでくるんで虫退治完了。朝から疲れる…。
「先生ありがと~」
「
生徒達のお礼と笑顔でだいぶ気が紛れる。ここに赴任してからしばらくは、みんなに信頼されてないというか距離感を感じていた。
異性の先生だから仕方ないと割り切っていたが、虫退治を重ねた事で生徒達は少しずつ変わってきた。一部の生徒の『颯君』呼びがその証拠だろう。
「もうそろそろ朝のホームルームを始めるから席に着いてくれ!」
教壇で連絡事項を伝えながら、生徒全員の顔色を伺う俺。真面目に聴いているかどうかチェックするためだ。そんな中、一番後ろの席の早川さんと目が合う。
彼女は俺に向かって小さく手を振ってきた。あの手が俺のあそこを…。今それを考えたらマズい! なるべく早川さんを見ずに、朝のホームルームを終えた。
終わってからすぐ、俺は2-Aを出る。1限は確か体育だったはずだから、他の事ができる。職員室に戻って今後の授業プランを練るか。
……職員室に戻ったところ、隣のデスクに村松先生はいない。集中できて嬉しいような寂しいような気分を抱いてから仕事を始める。
「先生、先生!」
聞き覚えがする声がしたのでハッとすると、体操服姿の
「どうした? 体育はもう始まってるだろ?」
「そうなんですが、実は更衣室に虫が出まして…」
またかよ。それで俺に退治を頼みに来たか。
「体育の先生には事情を話してあります。だからわたしは遅れても大丈夫ですけど、先生を1人にする訳にはいかないので…」
もしかして、俺が下着泥棒でもすると思われてる? まだ信用されてないんだな…。
それでも生徒のヘルプには応えないと!
「わかった。すぐ準備するから待っててくれ」
「お願いします」
虫退治グッズを持って、女子更衣室に入る俺と佐宮さん。…部屋中良い匂いがするのは気のせいか? って、余計な事を考えるな! 今は虫に集中だ!
入って早々、彼女は更衣室の鍵を閉めた。逃げたら被害が広がるからだな。
「佐宮さん。虫はどこにいたんだ?」
「虫がいたのは嘘なの、颯くん♪」
2人きりだから呼び方を変えてきたな。…じゃなくて!
「嘘だと?」
「うん。2人きりで話したくて…」
何を話す気だ? まったく心当たりがない。
「今日の颯くんのあそこ、いつもと違って元気なかったね。だから気になって…」
早川さんの言った通りだったか。常に見られてる自覚を持った方が良さそうだ。
「それに挙動不審じゃなかった? 何かあったの?」
あの件がバレるとややこしい事になる。すぐごまかさないと!
「挙動不審? 気のせいだよ」
「そっか…」
「俺の事を心配してくれてありがとな。もう大丈夫だ」
生徒に気遣われるなんて、教師として情けないぞ。
「なら良かった。颯くんはみんなに信頼されてるから、これからも頑張って欲しいの」
「俺、信頼されてる?」
「されてるよ。虫退治もそうだけど、ゴミの分別とか草刈りとか、みんながやりたがらない事をやってくれるもん」
ここは女子校だから、女性が大多数を占める。だから女性陣に嫌われないようにうまく立ち回ってるだけで、佐宮さんの言うような善人じゃない。
嘘を付いた彼女を叱る気がないのが証拠だ。善人なら許しはしないだろう?
「良い話を聴かせてくれた礼だ。虫退治が嘘だった件は秘密にするよ」
これぐらいならバチは当たらないはず。
「ありがと~、颯くん♪」
「だからすぐ、体育の授業に戻るんだぞ」
「は~い」
俺と佐宮さんは、一緒に女子更衣室を出た。
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