第5話

異世界で遭難しました(前準備)


 ザザーン――。

 

 波打ち際で、体育座りをする海パンにアロハシャツを着て、サングラスを掛けている俺がいる。

 天気は快晴。太陽は赤く染まり、水平線の向こうには空との境目しか見えない。


 ザザーン――。

 

 余談ではあるが、体育座りとは地面に尻を付けた状態で膝を立てるように曲げ、両手で膝を抱えて丸まったような姿勢になる座り方だ。

 しかし近年ではその姿勢が身体によくないのだろうかと言われ、廃止する小学校なども出ているとか。

 俺が子供の頃は、ハーフパンツで授業を受けていた。ブルマは既に無かった。生地が薄く、運動場の小石がお尻に刺さって痛かった。そんなどうでもいい思い出を振り返る。


 ザザーン――。

 

「うーん、オダナカ殿。どうやらこの島は無人島のようです」


 いつもの鎧姿ではなく、水色のビキニ水着のアグリだ。

 金色の髪の毛を編み込み極力邪魔にならないような髪型をしている。

 鎧姿では分かりにくかったが、彼女もモデルのようなスタイルで、さらに筋肉質で引き締まった肉体をしている。

 本人は最近ご飯の食べ過ぎで太ってきたと言っていたが、外から見る限りは分からない。


「無人島、ですか」


 何故こうなってしまったのか。

 

 俺の記憶は、里帰りをしたあの時までさかのぼる――。

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