第1話
異世界でラーメンを食べる1
通勤時間短縮の為、思い切って引っ越しをして、変な鍵を受け取ったのが2月中旬--。
それから早1か月が経とうとしていた。
「お疲れ様でした」
「小田中さん、お疲れ」
かなり忙しい時期な事もあり、残業を終えて会社を出たのが21時過ぎ――会社から駅までの飯屋は居酒屋やバーを除けばそろそろ店仕舞いの時間帯だ。
「ハラ減ったな……」
駅には全国展開している牛丼屋やカレー屋も入っているので食べる場所には困らない。
1人暮らしをしている身なのでコンビニで何か買って帰ってもいい。
「……ラーメンが食べたい」
ハラは減っているがなんでもいい訳では無い。
そうだ。なんとなくラーメンが食べたい。
昔ながらの海苔とナルトの入った鶏ガラスープの中華そば。
しっかり煮込んで、少しクサみが出た豚骨ラーメン。
プルプルの脂身とモヤシがたっぷり入った二郎系という手もある。
「やばい。そんなの考えたらマジで食べたくなってきた……」
この辺りの飲み屋街にあるラーメン屋もいいが……。
やはり先週、1度行った事のある”異世界のラーメン屋”にしようと思う。
最初こそ抵抗はあったが、もう異世界に行く事に慣れてしまったのだ。
そう考えがまとまると、俺は地下鉄の入り口――には向かわず、とある路地に入っていった。
左右を見て人がいない事を確認すると、その辺りにあったテキトーなドアへ黒い鍵を差し込む。
それはどう見ても鍵穴にあってないのだが、不思議とスルッと入り――。
ガチャ――。
と開いた。
俺は足早にドアの中へ入ると――そこは異国
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